2019 Fiscal Year Research-status Report
Research on GNT's Innovation focusing on Startup Venture & SMEs
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19K01854
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
藤本 武士 立命館アジア太平洋大学, 国際経営学部, 教授 (00389561)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イノベーション / マーケティング / 経営学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ベンチャー・中小企業を、グローバル・ニッチトップの国際的観点からイノベーションとマーケティングで捉えなおし、 ベンチャー・中小企業がイノベーションの拡大・雇用と競争力・経済活性化の牽引役となるモデル構築の研究を目指すものである。 1年目にあたる2019年度は、売上規模別や上場・非上場ファミリー企業などの経営の多様性を前提に、欧州・米国・アジア地域のベンチャー・中小企業の包括的な現状について情報収集を行った。10社以上の事前調査を行い、その中から対象企業を選択し事業モデルや経営が抱える課題をヒアリング確認することができた。 特に、中小企業から大企業へと変換した企業を参照しながら、事業モデルを多面的に捉える指標作成の準備を行った。事業モデルや経営が抱える課題については、中小企業が大企業の下請企業であるというこれまでのモデルから脱却し、新たな事業展開を模索する中での課題を探った。大企業と共存することで自身の強みを育成してきた中小企業が、それに依存しない独自事業の構想力を打ち立てることが国際比較での共通項となるためである。この点はベンチャー・スタートアップも同様で、大企業に認知される独自事業にいかに早期に投資し、持続的に成長させられるかが、その企業のその後の成長を左右するのである。 新型コロナの影響により、2019年度末に予定していた学会参加や調査は叶わなかったが、2019年度初期に開催した研究会で、地方創生・雇用創出・働き方改革の観点から専門家の知見を得られ、大都市集中化・大規模化がもたらす弊害、持続可能な事業で克服する地域のベンチャー・中小のファミリー企業の国際比較にヒントを得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
訪問・ヒアリングでは10社以上の事前調査を行ったうえで現状についての情報収集の確認を行えた点は評価できる。スタートアップ・ベンチャーの場合、中小企業とは異なり、設立当初からの年数・社歴は長くなく、早期に実績を急拡大する事業に投資が集中される傾向にある。他方、設立から10年以上が経ち比較的長めの社歴を持つ中小企業は、技術や組織の成長で持続的成長を蓄積している。その点で、自らの独自性で評価を受けるためには、スタートアップ・ベンチャーと中小企業の双方とも、大企業含め多様なステークホルダーの期待を集める必要があること、また国際的にも共通する起業家精神が有効であることを確認できたところに順調な進展を確認している。初年度の企業訪問の数および検証ができたという観点から、概ね順調に進んでいるものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の2020年度の計画では、2019年度に行った予備調査から抽出された特徴的な項目について、日本・欧州・米国・アジア地域のベンチャー・中小企業の事例から、成長が確認できた時期・過程に焦点をあてて、ヒアリング調査を行う。特に、自立性を確立できた段階は企業の弱みを克服できた転換点でもあるため、外部の補完的な成功要因を探りたい。 また、立命館アジア太平洋大学APU-NEXT研究センターの研究メンバーやこれまでGNT研究に関わった日欧米アジアの専門家にも協力をあおぎ、強みを高度化させる補完的要因と方法をあわせて探る。新型コロナによる市場への影響が世界的に起こっているなかで、各国地域での国の対応や企業の動向について、研究者からの見解を収集するだけでも意義あるものと考えている。 2020年度は新型コロナの影響により調査ができない状況が続く可能性もあるため、オンラインでの調査も考えているが、調査対象となる企業の決算時期や状況、国内外の移動が制限される中で、新型コロナの対応に追われる国際企業には調査依頼が難しいことも想定している。 2020年度は、2019年度に調査した売上規模別を含めどの売上規模別であっても調査の実施が難しい可能性があるため、当初の計画から時期をずらしながら、調査の協力に前向きな協力を得られる企業から始めたい。また同時に、どの売上規模別にも共通する強みの検証や新たな追加仮説を用意し研究する。
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Research Products
(2 results)