2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on GNT's Innovation focusing on Startup Venture & SMEs
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19K01854
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
藤本 武士 立命館アジア太平洋大学, 国際経営学部, 教授 (00389561)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 経営学 / イノベーション / マーケティング |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の当初の計画では、予備調査・ヒアリングから抽出される共通項目と新たな特徴を、日本・欧州・米国・アジア地域のベンチャー・中小企業の事例から整理することが前提となっていたため、コロナによる制限で難しかったところを補う形で進めた。特にコロナ前では国内組織の国際化を進める高度人材の関与が重要であったが、コロナにより人の移動が制限されることにより何が大きな変化であったのかを確認する良い機会となった。また、大きな変化となった時期・過程に焦点をあて、経営的にマイナス面の回避、それによる実質的効果、外部の補完的要因を探る機会にもできた。また、最終年度に向けて、上記調査の集約を、①新規案件を安定的に実証実験できるテストベッドの有無、②実証実験にかかる費用や事業拡大の初期段階で売上確保に相当する保障の有無、③特殊性が新規事案の国際化と高度化に寄与する制度の有無、の観点から整理するものであった。その中で、2021年4月には回復の兆しが見えたことを確認していたので、一次データの収集に努めた。①②に関してはコロナ前に技術指導がされたパートナーの支援が大きく寄与した事例が多かった。2020年5月には国・地域を跨いだ人の移動が制限されたため、どうサービス提供に影響が出たのか、対応策を確認することができた。コロナ前には国内の組織の国際化に重要とされたことが人の移動が制限されたことで、現地での対応も本社対応なしで実施できる事前の技術指導が有効となったことがわかった。③に関しては海外企業も含め比較調査が多くないため、もう少し予備調査を要する段階にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度は昨年度や一昨年度を受けての調査であったため、進捗状況はコロナによりやや遅れた程度とした2020年度と比較して、やや強めで遅れたと考える。特に調査対象の特徴をはっきり示す要因が回復基調となる前に調査から掴む大切な時期であったため、その時期での実態調査を実施できなかった点は大きい。コロナの時期であったため良い機会と理解したが、調査はコロナの行動制限に従うのみであり残念であった。また、まん延防止措置が複数回と各地で出された時期が調査時期と重なったため、2021年度は企業が回復基調になった実態を掴む機会であっても、得られたデータを調査・検証する段階に入りづらかった面があった。一斉の自粛や活動停止が起こった状態は対象企業のみならず他社も操業を止めたため、新たな事態に耐えうる要因を探る意義はあった。しかし、回復時期にばらつきがあると、悪条件で何が回復要因か、何が突破口であったか確認する調査が必要であり、回復の判断材料を各社から適切な時期に収集できなかった影響は大きい。現時点で少しずつ明らかになってきたのは、企業の回復が早期に実現した企業ほど工場や社員の動きは止めていなかったことである。これら事態の対応が国内外で比較する良い対象であるが、社員も国内顧客には対応したが、工場を止めずに海外にも対応したであろうその時期に、調査を移動制限によりできなかった点が今年度の難しさとなった。そのため、計画通りに進まず遅れた状況にあると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査で仮説の絞り込みを行う実態調査が不足気味であることが2021年度の実感であり、これまでと少し状況が異なる。調査段階でテーマが絞り込まれることでより確認の焦点が明確化してきたこれまでであったが、その点が全く絞りきれていない。そもそも、計画がこの段階までずれ込んだケースも少なく、今後は国内外の情報を中心に付随する予備情報を収集することに努める。今年度の調査では昨年度とは異なり具体的な企業の抱える課題を調査から出すことができるように訪問調査を加える。できる限り補える数を加えたいが時期が限られるため、調査の進捗状況に合わせて学会等での発表とする。2021年度も公表データをもとに企業のヒアリングに特化しない形で組み立てたが、今後の研究は2021年度とは異なり、ヒアリングによる検証を加えた情報公開を目指したい。 さらに本調査は2022年度が最終年度にあたるが、コロナで状況が大きく変化した業界に医療介護の分野がある。特に特殊技術で業界内での地位を築く企業も存在するが、それら企業の国際比較も共通する基準が適用可能か否か含めて調査することができると考えている。特に、技術力が高いとされた日本の医療業界の調査企業からコロナでの情報発信は世界的に遅かったのか、技術力が持つ情報の収集力とそれによる情報発信の速さの確認である。スタンダードを構築する特殊技術や先端的動きが業界をリードする情報の影響力をどう構築するか、次期研究のテーマに合わせた進め方を試みたい。
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Causes of Carryover |
本研究の主な費用内訳は調査に伴う交通費と研究会に伴う実施運営費や専門知識の提供による謝金である。しかし、コロナで過去2年間それらの開催がなくなり、それに伴う費用も止まった。そのため、調査の可能な範囲に合わせた国内調査が主であった。国内調査は海外調査に比べ、移動に伴う費用がかからず、それらを次年度に繰り越す形となった。次年度は実施期間に限りがあるものの、調査のタイミングが合うならば海外調査につなげたい。今後の計画方針に沿う形で、調査対象となる業界や企業も広げていく。 また同時に海外ケースは収集する重要性を確認している。国内企業と海外企業との比較で明確に抽出される情報を絞り込むためである。同じ国際企業ならば中小企業の強みを海外比較から整理するためにも、国内企業で比較対象となる優良企業を調査対象としつつ、できる限り海外でのヒアリングの機会を活かしたい。また、コロナ以前にIoT推進とした再編の動きもDXとして国際的に中小企業で変化しつつある。日系企業はどちらかと言えば遅れ気味と警鐘されるほど、本研究のベースとなるテーマであるため、できるならば現場の視察を試み、それでも難しい場合には招聘という形式で調査を進めたい。最後に最終年度であるため、研究の土台が固く組めるようにもう一度調査内容を確認し、不足となった情報の収集に向けた調査を行えるように計画を進めていきたいと考えている。
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Research Products
(1 results)