2020 Fiscal Year Research-status Report
The usiness policy of regional banks against the declining loan-deposit ratio
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19K01861
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
近廣 昌志 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (60644466)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地方銀行の貸出残高と預金残高 / 第二地方銀行の貸出残高と預金残高 / 信用金庫の貸出残高と預金残高 / 信用組合の貸出残高と預金残高 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度に実施した研究については,大別すると以下の2点である。一つは国内預金金融機関ごとのデータ収集であり,いま一つは,地方銀行の業務規制とその緩和・解禁の陳情内容について,他国との比較分析を進めた。以下,それぞれについて報告させていただく。 データ収集について,当初予定していたスカンジナビア諸国のデータ収集が実施できなかったことから,急遽,国内のデータ収集に変更して作業を進めた。それは日銀等のデータでは追跡できない各預金取扱金融機関ごとのデータであり,項目を精査したうえで詳細時系列データを収集し,一部集計・加工作業に入った。正確な研究のためには都道府県別のデータに加工する必要があるものが多く,作業に時間を要しているものの不断に進めている。 銀行業務の規制・解禁については,地方銀行協会等が決定・発信する内容について,金融庁の方針等と照合しながら,経緯と背景について精査し,預金金融機関に対する業務規制に関わる資料収集を行った。更に,日本の預金金融機関の業務規制は,その範囲の側面で多様であるため,ドイツ・米国・英国との比較を行うために,3カ国の事情について当局リリース等により情報を収集した。 最後に,日本の金融機関のビジネスモデルの特殊性に関する研究には,他国との比較等によって得られることが多く,特に本研究の問題意識に沿うためには,スカンジナビア諸国のデータと情報を得ることが必要である。2020年度には国外への渡航ができず果たせなかった作業は,次年度に実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
スウェーデンおよびデンマークへの渡航が出来なかったことで,スカンジナビア諸国のリーディングバンクと当該国の中央銀行へのヒアリングが実施できなかったことにより,初年度に収集したバルト三国のデータとの接続が実施できていない。 また上記各国の財政データについても,公表に遅延が発生していることにより,過年度との接続が出来ていない。また,今後,財政支出の特別対応によるイレギュラ項目等の外れ値の問題が生ずるものの,時差を考慮すれば研究対象として有効であると前向きに考えている。 なお,研究協力者との連携も,2020年度は実施できなかったことと,データ加工作業の担当予定であった学生アルバイトさんとの対面も難しくなり,相当作業が遅れている。 なお,国内でのヒアリング調査と学会・研究会報告にも影響が出ている。いわゆる僻地同士の比較調査を実施する予定であったが,出張が厳しく制限される中で,預金金融機関からのデータ授受に応じてもらえないケースが出てきている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に生じた遅れは2021年度に解消させる意欲があり,特に最終年度に当たる2021年度の作業は多く,計画を練り直す。2021年度の研究推進については,以下の通りである。 最終目標である日本国内の産業の成熟と高齢化社会に対する預金金融機関の最適ビジネスモデルの模索に結論を出すため,特に地方銀行をはじめとする地域金融機関の生産性と産業寄与度をマッピングする作業を進める。これには預貸率の変動を含み,持続可能な預金金融機関のビジネスモデルに関わる課題を特定する。 次に,日本と対照的に預貸率を上昇させているスカンジナビア諸国については,財政要因が大きいとの仮説の検証を進めるとともに,翻って財政支出の大きい日本の状況に対し,地域金融機関のビジネスモデルのすり合わせを検討する。これには,日本の金融政策との関連を重視しなければならず,日本銀行関係部署と地方財政担当者へのヒアリングを実施する予定である。 最後に,日本の預金金融機関に対する業務規制とその解禁との関連で,特に地方銀行の収益構造の変革に関わるシミュレーションを実施することで,本研究の検証とする予定である。オーバーバンキング等と称される現下の日本の地域金融機関であるが,銀行数の問題ではなく,業務収益の構造が現実とマッチしていない点が課題であることから,預金金融機関の機能的側面から結論を導出する。総じて,出張や金融機関の面会等に支障が出ることが避けられない現状で,最大限効率よく研究を進めていく所存である。
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Causes of Carryover |
2020年度に予定していたスカンジナビア諸国への渡航および国内僻地の預金金融機関へのヒアリング調査と資料調査が実現できなくなったために生じた。また,本研究の内容と進捗等を定期的に報告し助言をいただいていた研究会の取りやめ延期が続き,予定していた国内旅費も支出しない状況が続いたことによる。また,データ加工作業などのための人件費についても予定していたが,勤務する愛媛大学の対面取扱いの指示等により実施できていないことも予定支出額との差異を生じさせた要因である。
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Research Products
(2 results)