2019 Fiscal Year Research-status Report
フォロワー視点による組織不祥事の発生・加速メカニズムの解明
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19K01869
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
日野 健太 駒澤大学, 経営学部, 教授 (70339670)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リーダーシップ / 組織シンボリズム / 権力 / パワー / スポーツ / 沈黙 / 発言 / 心理的安全 |
Outline of Annual Research Achievements |
期間中2本の論考を発表した。 日野健太(2020)「大学スポーツとシンボリズムと権力:駒澤大学の硬式野球部と当局を巡って」『駒大経営研究』第51巻1.2号(2020年3月) 「大学スポーツに対して学長を始めとする権力者は庇護を与えるとともに干渉せずにおれないのはなぜか」という問題について,主に2017年以降の駒澤大学での経験と観察に基づいてシンボリズムとリーダーシップの立場から考察した。組織が持つスポーツチームは社会からポジティブなイメージが賦与され,組織そのものをイメージさせる。組織の経営者は,このポジティブなイメージに組織として(また,権力者個人として)あやかりたいという動機,またスポーツチームとその指導者が自分の支配下にあることを見せつけることによってシンボリックな権力を強化・獲得したがるのではないかと考えられる。政治的リーダーのスポーツへの関わり方も同種の動機で説明できることから,観察対象は限られているが,本稿の主張は一定の説得力を持つものと考える。 藤村まこと・日野健太(2019)「組織における沈黙と発言の規定要因」『組織学会大会論文集』第8巻1号(2019年8月) ひとは組織において,本来見過ごしてはいけないような事態に直面することがある。この際の,ひとに告げるか(発言),黙っているか(沈黙)の意思決定に影響を与える要因についての実証研究を行った。2018年度に行った質問票調査の多変量分析を進め,沈黙の動機は怖れ,黙従,かばいあい,日和見の4つの動機によって説明されること,そして心理的安全の知覚が発言以上に沈黙に影響していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年4月に経営学科主任を拝命し,その業務に追われたため。また,社会的アイデンティティや,心理的安全と同様以上に,実際に起こった出来事の性格が期待や失望に大きく関わっているのではないかと考え始め,この問題意識を調査に織り込む方法が未だ見いだせていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
今般の社会状況も考慮し,研究期間の延長を視野に入れ,今年度は文献研究を中心に研究を進める。
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Causes of Carryover |
研究計画に遅れが生じ調査を延期しているため。
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Research Products
(3 results)