2021 Fiscal Year Research-status Report
フォロワー視点による組織不祥事の発生・加速メカニズムの解明
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19K01869
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
日野 健太 駒澤大学, 経営学部, 教授 (70339670)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | カリスマ・リーダーシップ / ダーク・サイド / アビューシブ・リーダーシップ / ハラスメント |
Outline of Annual Research Achievements |
文献研究を進めるとともに,シナリオ実験と質問紙によるフィールド・サーベイを1回ずつ行った。さらにシナリオ実験の結果については,1回の学会報告を行った(「リーダーシップのダークサイド」日本経営学会関東部会 2021.11)。 カリスマ行動とハラスメント(アビューシブ)行動で2*2の条件を作り出してシナリオ実験を行った。結論を要約すれば,リーダーがカリスマ的であると,職場における他者へのへのハラスメントが認識されにくくなり,さらにそのようなハラスメントへの積極的な加担が起こりかねないことが明らかになった。つまり,フォロワーは,実際のリーダー行動をフォロワー自身の認知スキーマによって解釈するために,カリスマ性を認めるフォロワーであれば,そのハラスメント的行動を過小評価してしまうのである。リーダーに恐怖を覚えたので追従するというメカニズムに加え,非倫理的なリーダーへの積極的加担が生じるメカニズム,つまり,「フォロワーによる不祥事の加速」が生じることが明らかになった。 さて,このような認知スキーマの働きは,集団アイデンティティの強さや組織の危機といった文脈の影響を受けると予想される。この点についての実証研究に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍および,それにともなう遠隔授業対応など業務量増大の影響は否定しがたい。とくに,学会報告を経て査読誌投稿を目指す,というサイクルは実現が難しい状況にある。また,シナリオ実験は学生を対象にするのが簡単であるが,遠隔授業が続き,知己の研究者の協力を得ることが難しかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1)カリスマ性とハラスメントの交互作用について,文脈の効果を加えたシナリオ実験を7月に行う。すでに学会報告を行った結果と合わせ,査読誌での公表をめざす。 2)2021年9月に行った質問紙調査について,調査結果の分析を進める。また,必要な分析手法の理解と修得が必要である。おそらく9月の日本経営学会で中間報告をすることが可能になると思われるので,それを経て,年内の論文投稿を目指す。 3)本研究を進めるうちに,フォロワーによる関与を促進する条件は,よりマクロの視点から理解することも必要であることが理解できた。いうなれば社会心理学を背景に行われてきたリーダーシップ研究の立場からすれば,組織のパワーや文化は未整理の概念なのである。この部分についての理解を深めるべく,Mary Jo HatchのVery Short Introdution Organization Theoryの共訳を完成させる。
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Causes of Carryover |
2年間続けて出張できなかったため。
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Research Products
(4 results)