2019 Fiscal Year Research-status Report
アジア新興企業の先進国企業に対するキャッチアップにかかる実証研究
Project/Area Number |
19K01871
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
赤羽 淳 中央大学, 経済学部, 教授 (30636486)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 隆一郎 桜美林大学, ビジネスマネジメント学群, 教授 (70438076)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 新興国 / キャッチアップ / M&A / 企業 / テイクオーバー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、製造業を対象にアジア新興企業の先進国企業に対する競争力向上(以下、キャッチアップと称す)を「自己進化型」と「テイクオーバー型」という二つの類型(定義は後述)に分けて捕捉し、各類型の特質を探究する。具体的にはエレクトロニクスや自動車分野を中心に先進国企業にキャッチアップを果たした韓国、台湾、中国企業の15社程度のインデプス事例研究を通じて各類型の前提条件、先進国企業との関係、経営課題などを探る。また、アジア新興企業のキャッチアップをバリューチェーン(価値連鎖)上の事業範囲拡大と捉えることで、自己進化型とテイクオーバー型の相互関係も分析し、アジア新興企業のキャッチアップは初期の自己進化型からやがてテイクオーバー型へ変化するという仮説の検証も行う。そしてアジア新興企業のキャッチアッププロセスの体系化を試みることで、日本における国際経営の実証研究レベルの底上げに寄与したい。 本年度は、タイ・サミットによるオギハラの買収案件の事例研究を行った。タイサミットとは、タイの代表的な自動車部品メーカーである。一方、オギハラは群馬県に拠点をおく日本の大物金型メーカーであった。2009年にタイサミットはオギハラを買収している。すでに10年経過しており、テイクオーバー型キャッチアップの事例研究として適切と考えている。研究方法としては、企業訪問調査および工場見学を主体とし、文献調査、新聞記事検索によって補足していくアプローチを考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査研究活動は2019年の夏季に集中的に実施した。8月にタイ・サミットの本社およびオギハラのタイ工場を訪問し、調査活動を行った。また、その後、群馬県のオギハラ本社も訪問して、聞き取り調査を実施した。 以上の調査結果は、以下の学会発表および論文発表にて学術的成果として結実している。
「アジア新興企業の日本企業に対するM&A戦略‐タイ・サミットによるオギハラ買収の事例を通じて‐」赤羽 淳 2019年度アジア政経学会秋季大会プログラム 2019年11月30日 アジア政経学会 (単独報告)
「アジア新興企業のテイクオーバー型キャッチアップ戦略‐タイ・サミットによるオギハラ買収の事例を通じて‐」赤羽淳 京都大学経済学会・経済論叢 194(2) 37 - 54 2020年4月 (単著)
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、事例研究の積み重ねをしていきたい。以下は、今後進めようと考えている事例研究の対象である。 ・中国自動車メーカー吉利によるボルボ買収 ・中国家電メーカーハイアールによる三洋買収 ・台湾エレクトロニクスメーカー鴻海によるシャープ買収
|
Causes of Carryover |
今年度は、海外調査が一度しかできなかった。今年度の余剰額と次年度の予定額をあわせて、海外調査を複数回実施する予定である。
|
Research Products
(2 results)