2019 Fiscal Year Research-status Report
The Roles of Entrepreneurial Employees in Foreign Business Expansion for Japanese SMEs
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19K01872
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
山本 聡 東洋大学, 経営学部, 教授 (60632346)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 個人的企業家志向性(IEO) / 従業員の企業家行動 / 海外市場参入 / エンパワーメント / 職務満足度 / 組織同一性 / 情動葛藤 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度の研究実績は以下のようになる。本研究の前身で、19年度に期間延長として実施した「中小・小規模企業の国際的アントレプレナーシップと地域公的機関活用モデル」とリンクさせ、新潟県燕三条地域、静岡県、長野県諏訪地域、東京都大田区の中小企業にヒアリング調査を行った。本研究独自の調査として、岡山県の中小企業に対するヒアリング調査を行った。さらに、共同研究者との打ち合わせのため、二回の福岡出張を行った。本研究は近年、海外アカデミアで研究成果が蓄積しつつある従業員のアントレプレナーシップを分析対象としている。よって、中小企業だけでなく、従業員数が大きく、組織構造がより複雑な大企業も調査対象にした。定量的なアンケート調査に関しては、大企業で実施し、その成果を中小企業の質的調査に援用する必要がある。そのため、東京都内の大企業二社を調査対象にし、一社でアンケート調査を実施した。そして、人事データと接続し、従業員のIEO(個人的企業家志向性)を決定する客観的変数、IEOとエンパワーメント、情動葛藤、組織同一性、報酬満足など職務満足度との関係を明らかにした。その上で、従業員のIEOの促進・阻害要因を明らかにした。また、研究計画段階で念頭に置いた自律性以外に様々な要因を見出している。3月以降は岐阜出張などを予定していたが、新型コロナの影響により、出張を自粛した。今後は電話やWebによるヒアリング実施を考えるが、見通しは立っていない。計画していた国際学会での報告も見通しが立っていない。よって、研究計画を大幅に変更し、2020年度に大規模なWebアンケートを行うことも考える。本研究に関して、2019年度は論文2本を発刊し、国内学会4回、国際学会1回の報告を行った。加えて、政府・自治体の委員として本研究成果を踏まえた知見を多く提示した。2020年度に論文や書籍の公刊と学会報告がすでに決定している
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2020年度は大企業の営業系社員に対して、個人的企業家志向性(IEO)に関するアンケートを実施し、90%以上の非常に高い回収率を達成した。当該アンケート結果は人事データに接続した上で、重回帰分析や共分散構造分析を行い、様々な知見を既に得ている。そこでは当初に念頭に置いていた自律性の概念以外にも、エンパワーメントや様々な客観的変数が個人的企業家志向性の程度に影響を与えていることを見出すことができた。なお、本アンケート分析に先立ち、関連する国際ジャーナルの論文を過去から現在にわたって多数収集し、既存研究のレビューとしておおよその整理を遂行した。その上で、すでに論文の執筆に着手しており、学会報告も受理されている。また、中小企業の海外進出と従業員のアントレプレナーシップに関する質的調査も新潟県燕三条地域、静岡県、長野県諏訪地域、東京都大田区、岡山市で同時並行で行い、様々な知見を見出している。これらに関連した成果として、19年度中に論文発刊や学会報告を複数、行っている。また、20年度に公刊が決定している論文や書籍も複数存在し、学会報告も受理されている。こうした点を鑑み、本研究課題の進捗状況を「当初の計画以上に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
なお、新型コロナの感染拡大により、2020年3月以降の出張による企業調査は現状、すべてキャンセルとなっている。加えて、研究計画に記していた国際学会、とくに欧州や米国で開催する国際学会に関しては、現状では参加の見通しが全く立っていない状況である。こうしたことから、2020年度は論文執筆により多くの時間を使うつもりである。今後も、出張による企業調査の制限が見込まれるため、対面ではなく、大規模なWebアンケートを行うことを考えている。その際、2019年度のアンケート調査で得た個人的企業家志向性に関する知見を活用し、発展させることを目的とする。さらに新型コロナによる制約を踏まえた上で、国内外の学会報告や論文投稿を引き続き、進展させていく。
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Causes of Carryover |
本年度は期間延長分の研究課題があったこと、研究代表者が2018年に第二子は生まれ、育児負担が大きく増大したこと、研究代表者が転職により2019年4月1日から所属先の大学を変更したこと、さらに2020年2月以降の新型コロナウィルスの感染拡大により、複数の出張による企業調査および共同研究の打ち合わせがキャンセルといった複数の要因により、次年度使用額が生じている。とくに新型コロナウィルスの収束の見通しが立たないことから、出張による企業調査や国際学会参加も見通しが立たない状況である。上記を鑑み、2020年度は研究計画を大幅に変更し、大規模なWebアンケートの実施や英文書籍の購入、必要となる設備の購入に予算を振り分けていく。これらは2020年度初頭に新型コロナウィルスの収束状況を適宜踏まえた上で再計画の上、実施していく。
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[Book] 中央経済社2020
Author(s)
山田幸三、尹大栄、山本聡、落合康裕、戸前壽夫
Total Pages
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Publisher
ファミリーアントレプレナーシップ