2021 Fiscal Year Research-status Report
The comparative study between Japanese and German suppliers on the maturity of Lean and IoT in the Brazilian market
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19K01874
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Research Institution | Chiba University of Commerce |
Principal Investigator |
塚田 修 千葉商科大学, 経済研究所, 研究員 (90633884)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | インダストリー4.0 / アーキテクチャー / プラットフォーム / 製造のサービス化 / 製造業のデジタル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年6月より北九州工業高等専門学校、久池井茂教授と共同で北九州地区、大分地区、鹿児島地区、東京で活動する中小企業に対してインダストリー4.0に関する調査を行った。調査票は7つの大項目、45の質問項目に分けてリッカート尺度の5段階で評価された。7つの大項目の前半の3つは、インダストリー4.0への関心の有無と緊急性、期待する効果と適用分野、そして後半4つの大項目は各社の現状認識に関する項目で,現在活用中のITシステム、インダストリー4.0導入の阻害要因、改善活動と小集団活動、最後に、実施中のIoT活動である。 今回調査に回答した22企業は資本金6,985万円、売上は38億円、従業員数は118人が平均値で中小企業庁の定義の中でも小規模企業の部類に入る。この内容を2022年度組織学会研究発表大会(東北大学・オンライン)に応募し、採択された。2022年6月4日の大会で発表する予定である。この調査結果から明確になったことは、インダストリー4.0の狙いが、日本の製造業の持つ価値観(典型的にはトヨタ生産方式)と大きく異なる部分があることに起因する混乱であると推定される。例えば、すり合わせ、垂直統合の自前主義に対して、モジュラーのオープン・アーキテクシャー(他社との協業)、ものつくりに対して製造のサービス化、品質、コスト、納期重視に対して顧客価値創造などである。今後、これらの諸点を整理し、導入促進のための解決方法を掘り下げる研究を進める。また、科研研究申請時の研究目的であるドイツとブラジルにおける中小企業と日本企業の比較調査を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本の中小企業の持つインダストリー4.0導入の困難性とその解決のための提案は2022年6月4日の組織学会研究発表大会での発表で一区切りとなる。アンケート調査を実施し、ここまで日本の中小企業のデジタル化の遅れ要因を整理できたことは「(2)おおむね順調に進展している」と評価できると考える。 しかし、ブラジルとドイツの企業との比較調査という本来の研究計画との比較という意味では「(4)遅れている」という評価となる。コロナ禍の状態でいつ海外渡航が出来るか未だ不明確な状況で見通しが立たない。また国内調査も自由に出来ないことで遅れているともいえる不透明な状態である。 以上の2つの状態の平均を取って区分(3)やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
日本の中小企業の持つインダストリー4.0導入の困難性をより良く整理するために以下3点に関して研究を継続する。①アーキテクチャーの視点からインテグラル・クローズ型 対 インダストリー4.0の持つモジュラー・オープンの違い、②ものつくりとサービス化の違い、③デジタルプラットフォームとネットワーク効果のインパクトを掘り下げて、新たな調査票を作成する予定である。これにより導入の困難性がより体系的に解明され、どうすればこの困難性を克服できるかの方策を検討し、日本の中小企業のデジタル化による活性化に貢献したい。新たな調査票をまず国内の企業に適用し、その後、海外企業(ドイツとブラジル)の調査に適用できるように英語化する予定である。これらの結果をまとめて、英文の論文を作成したいと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のために、出張禁止指示が出て、海外渡航も国内研究出張も取りやめたため。 コロナ状況により調査を継続したい。
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