2019 Fiscal Year Research-status Report
中小企業の対外直接投資に関する日中比較:企業のネットワーク戦略と支援体制を中心に
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19K01878
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
姜 紅祥 京都女子大学, 国際交流センター, 助教 (80626713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻田 素子 龍谷大学, 経済学部, 教授 (40350920)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 対外直接投資 / 中小企業 / 日中比較 / 支援組織 / 華僑・華人 / 戦略的資産 / ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
令和1年度(平成31年度)の研究実績については、学会発表2件、研究論文1件、学術書籍1件をあげた。 令和1年度は、研究プロジェクトの最初年度として情報収集と現地研究調査が主な作業である。東南アジアを予定の調査先として、研究代表者は中国企業の東南アジア直接投資について最新の情報を収集し、成果としてアジア共生学会で発表した。また、この学会報告をベースに、「中国企業の対東南アジア直接投資と華僑ネットワーク:タイ羅勇工業団地を例として」という研究論文を『アジア共生学会年報』に掲載されている。この研究発表と論文公刊は、多くの中小企業が国際化された北九州市で行われ、情報発信と日本中小企業の情報収集において研究上で重要な一環として考えている。 また、8月29日から9月7日までには、ホーチミン市とビンズオン省とダナン市とグァナンム省を訪問し、ベトナムに対するフィールド調査を実施した。この現地調査は日中中小企業のベトナム進出を詳しく把握することができた。調査の結果を踏まえて分担者の辻田素子は2020年1月22日、関西日中関係学会において、「中小企業の対外直接投資に関する日中比較:ベトナム・ダナンのケース」というテーマで発表した。発表を通じて、日本の企業家と意見交換を行い、今後の研究に多くの示唆を得た。 さらに、中国企業の対外直接投資について、研究代表者は『戦略的資産獲得と中国の対外直接投資』という単著書籍1冊を2020年3月20日に出版した。この書籍は、対外直接投資についての理論と中国企業の投資行動を整理し、科研研究プロジェクトの理論筋をまとめたものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和1年度の科研費研究プロジェクトの進行はおおむね順調であったと言える。理由は以下である。 第一に、国内調査と海外調査はおおむね予定通りに実施したためである。国内調査では、2019年7月22日(月)に滋賀県長浜市開催する「ベトナム・ハナム省投資誘致セミナー」への参加、8月9日(金)に東京都にあるベトナム経済研究所への訪問を実施した。ベトナムに進出する日本中小企業の情報収集、ベトナム政府の投資委誘致政策の把握が主な目的である。海外調査では、8月29日から9月7日までにホーチミン市とビンズオン省、ダナン市とグァナンム省を訪問し、ベトナムに対するフィールド調査を実施した。日本企業5社、中国企業7社、ベトナム企業2社に対するインタビューを実施し、ダナン日本商工会議所、ベトナム・ダナン市政府、ダナン大学、グァナンム工業団地およびITパーク、ホイアンにある4つの華僑組織(中華会館、福建会館、潮州会館、海南会館)への視察訪問とインタビューも実施した。この現地調査は日中中小企業のベトナム進出を詳しく把握することができた。 第二に、学会発表と学術成果公開は予定通り実施したためである。研究実績の概要に書かれるように、学会発表2件、論文1件、書籍1件をあげた。 第三に、2020年1月から新型コロナウイルス感染が拡大し続け、当初計画していた中国企業(中国国内)に対する調査は、海外渡航が不可能になっているため、延期せざるを得なかった。しかし、年度末に発生した予測不能な事態で、当年度の研究に大きな影響がなかったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度では、海外調査地域を広め、東南アジアとヨーロッパ、中国に対するフィールド調査を計画している。調査が確実に実行できるように、中国国内の研究者と海外の知人に依頼し、調査先の確保に努めている。また、日本国内の研究者と企業者にも積極的に情報を発信し、国内調査も実施できるように努めている。 しかしながら新型コロナウイルスによる各国への影響がいつまでに続くかは不透明のままで、仮に状況が緩和されても海外調査のための渡航が可能なのかも不透明である。このような研究を遂行する上で生じている課題について、状況に応じて柔軟に対応したいと考えている。新型コロナウイルス問題で研究の遂行が明らかに困難になると判断される場合は、研究期間を一年間延期する申請も視野に入れている。
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Causes of Carryover |
次年度では、海外フィールド調査(東南アジア、ヨーロッパ、中国)を計画しているため、調査を遂行するための旅費を計上している。また、調査に伴って発生するビザ申請料と謝金、研究のための物品費も計上している。
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