2020 Fiscal Year Research-status Report
中小企業の対外直接投資に関する日中比較:企業のネットワーク戦略と支援体制を中心に
Project/Area Number |
19K01878
|
Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
姜 紅祥 京都女子大学, 国際交流センター, 助教 (80626713)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻田 素子 龍谷大学, 経済学部, 教授 (40350920)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 対外直接投資 / 中小企業 / 日中比較 / 支援組織 / 華僑・華人 / ネットワーク / コミュニティー・キャピタル |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度(2020年度)の研究実績は、研究論文1本の公刊、学会公開講座での口頭発表1回の実施である。 そのうち、1本の研究論文は「ベトナム華僑の現状と中国中小企業のベトナム直接投資:フィールドワークに基づいて」というテーマのものであり、ベトナム華僑の歴史と現状、ベトナムに進出する中国中小企業のネットワーク構造と海外市場での競争優位と経営資源の活用を検討するものである。また、国家間の政治関係に影響される華僑ネットワークを現地経営に利用するについてもベトナムと他国との相違を論文の中で検証した。この研究成果は、研究申請当初の計画に沿ったものであり、中国企業の海外進出にあたり、ベトナムでの現地調査を経て「つながり構造」「コミュニティー・キャピタルの活用」を明らかにする研究成果の一環である。 また、科研研究の成果を社会に還元するため、2020年10月21日に研究代表者と研究分担者は京都女子大学人文学会主催の公開講座において「中国企業の海外進出と対外直接投資」と「中国温州企業家ネットワークの繁栄と限界」の演題で講演を実施した。結果としては来場した企業界と社会人との意見交換を行い、研究に多くの有益な示唆を得た。 さらに、2020年初頭から世界中に拡大している新型コロナウイルス感染症の影響を受け、国内外の研究調査を中止せざるを得ない状況の下で、代表者と分担者は積極的にオープン情報を収集し、オンラインでの意見交換を含めて情報分析を行っていた。得られた情報は2021年度の研究論文執筆や学会発表、そして今後の研究調査に活用する計画がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和元年(2019年)末から新型コロナウイルス(COVID-19)感染症が世界的に流行し、本研究は大きな影響を受けている。 本研究の初年度(2019年度)の夏には、計画通りベトナムに渡航し、フィールドワークを実施した。しかし、同年度末からCOVID-19感染拡大の影響で、予定した調査先のヨーロッパと東南アジアと中国では外国人の入国が禁止され、現地調査が実施不可能になった。その後の2020年度、感染状況が少し収まって出入国ができる状態になっても、長期間の隔離措置が求められたり、人との接触が避けなければならなかったりする状況が継続した。本研究は主に海外に直接投資を行っている中小企業の海外現地組織を対象に調査するため、調査の実施を一時中止せざるをえなかった。 本研究は海外に渡航し、フィールド調査を通じて実証分析するのが研究の根幹である。COVID-19の感染拡大によりフィールド調査ができなくなり、国内調査さえ大きな支障が生じているため、研究の進行は大幅に遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
前述したように本研究はCOVID-19感染症の世界的流行により、進行が大幅に遅れている。2021年度にも日本を含めて世界各国では収束の見通しが立たず、本研究の進行に非常に難しい状況が続くと判断する。したがって、このような状況に基づいて今後の研究は以下の方策を講じなければならない。 第一に、研究の最終年度である2021年度末には研究期間の延長を申請する。予測不可能な世界的なCOVID-19感染症の流行が多くの研究に支障をきたすため、本研究の期間延長はやむを得ない選択肢だと考えられる。 第二に、日本国内のCOVID-19感染状況を見極めながら引き続き情報を収集し、地域間の移動と国内企業への取材が可能になる時期で、日本企業の国内本社に対する調査を実施する。特に調査や取材を実施する可能性が高い京都府と滋賀県の中小企業を訪問し、①コロナ禍を乗り越えるために本社と海外法人の対応策、②海外現地経営の自立化など、本社と海外法人の関係の変化について調査する。また、ジェトロ京都支店や京都府・滋賀県商工会議所など日本中小企業の海外進出を支援する組織にも訪問し、海外進出する中小企業に対するサポート政策を調査する。この日本国内調査の結果を踏まえて、2021年度末または2022年度中に論文の執筆や学会発表を実施する。 第三に、2020年度の情報収集と文献研究の結果をまとめ、研究の初年度に実施したベトナム現地調査の結果を加え、中小企業の対ベトナム直接投資と現地経営の日中比較について学会発表と論文化を2021年度中に実施する。計画としては、アジア共生学会で研究発表を実施し、その後に研究論文の公開を目指すことである。
|
Causes of Carryover |
次年度では国内研究調査と学会報告を計画するため、それにともなって物品費と旅費を計上している。
|
Research Products
(3 results)