2019 Fiscal Year Research-status Report
ダイバーシティ・マネジメントによる組織変革プロセスモデルの開発
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19K01880
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
脇 夕希子 九州産業大学, 商学部, 准教授 (90587453)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ダイバーシティ・マネジメント / インクルージョン / 独自性 / 所属 / 公正性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ダイバーシティ・マネジメント研究では、多様な人材を雇用する(ダイバーシティを高める)だけではなく、インクルージョンを企業は進める必要があると指摘される。しかし、インクルージョンとは何かや、ダイバーシティとインクルージョンの概念の差を考察した研究は多くない。そこで、当該年度は次の2点を分析した。①ダイバーシティとインクルージョンには概念的差異があるのか。②日本の企業のダイバーシティ・マネジメントの取組で使用されている用語がその用語の概念に沿った取組であるのかである。 ①に関して、ダイバーシティは人口動態上で異なる人びとを組織の中で雇用することを意図している。インクルージョンは、従業員の認知によるものである。その認知は次の3つの側面が含まれている。第1は独自性への価値付けである。すなわち、独自性が価値付けられ、認められていると従業員が認知すること。第2は所属の観点、すなわち従業員が組織の中に所属していると認知することである。第3は、自分は評価されているという認知、すなわち公正に評価されていると従業員が認知することである。企業が従業員にインクルージョンの認知を高めさせるためには、上記を従業員に認知させるマネジメントが求められると指摘した。 ②に関しては、日本の企業はダイバーシティやインクルージョンの視点を持ち具体的施策を取組んでいる。しかしながら、その施策は有給休暇や労働時間の短縮に関わる取組、女性の就業継続施策に関わる取組といったワーク・ライフ・バランス支援である。前述の通り、ダイバーシティ・マネジメントには従業員のインクルージョンの認知が重要であり、その認知は独自性の価値付け、所属感、公正の評価の側面である。よって、企業のダイバーシティ・マネジメントの施策とダイバーシティ・マネジメント理論では差異があり、企業の施策の中にインクルージョンの認知の視点を含む必要性を指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに、ダイバーシティとインクルージョンの概念の差、および日本企業のダイバーシティ・マネジメントの取組の考察と概念から取組内容の検討できたからである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、ダイバーシティ・マネジメントの組織変革プロセスモデルの開発である。当該年度はダイバーシティ・マネジメントに不可欠なインクルージョンの3つの要素を明らかにした。 次年度の計画は2点である。①3つの要素の公正性の具体的内容の検討を種々の論文より検討する。②アメリカにおいては、研究者がダイバーシティ・マネジメント分析指標を作成し定量的方法で検討している。この指標は日本においての援用可能性の検討を行い、援用可能な箇所、修正を検討べき箇所を明らかにする(ただし、①を優先的に行い、②については今年度及び来年度にわたっての研究である)。
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Causes of Carryover |
令和3年度に予定してあった、ダイバーシティとインクルージョンの概念的差異に関するアンケート調査を先に行ったため、前倒し支払い請求を行った。アンケート調査結果は、当該年度の学会報告で報告した。 次年度は、コロナウィルスの影響で学会が中止になっていることから旅費を中心的に削減しつつ成果を出す。
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