2021 Fiscal Year Research-status Report
ダイバーシティ・マネジメントによる組織変革プロセスモデルの開発
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19K01880
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
脇 夕希子 九州産業大学, 商学部, 准教授 (90587453)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ダイバーシティ・マネジメント / インクルージョン / 組織的参画 / 心理的安全性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究テーマは、ダイバーシティ・マネジメントによる組織変革プロセスモデルの開発である。ダイバーシティ・マネジメントには従業員が組織の一部であるという、従業員のインクルージョンの認知が必要不可欠である。インクルージョンには、組織内参画の要素、組織内公正の要素が包含されている。そのため、本年度はインクルージョンを構成する組織内参画に焦点を当て当該理論を考察した。 組織内参画の視点は、Mor Barake(2017)では「私は通常、自分のワークグループの仕事関連の活動に積極的に参加し、招待される。」、「自分の組織の重要な会議には、たいてい招かれる。」、「同僚が仕事の後にランチや飲みに行っても、ほとんど誘われない(逆転項目)。」などの質問項目で調査する。Jansen et al(2014)は、インクルージョン認知としての質問ではあるが、「このグループは、私に合っているという感覚を与えてくれる。」、「このグループでは、ありのままの自分を表現することができる。」、「このグループは、私がありのままの自分を提示することを奨励してくれる。」などを質問項目とし測定する。このように、組織内参画は職場や仕事で自分は中の人であると意識できる、自分を表現できるしそれを認めてもらえている、同僚との仕事以外でも関係性を持っているという意識を指す。 近年、心理的安全性が組織活性化や学習・イノベーションに与える影響の研究が蓄積されてきている。心理的安全性の「みんなが気兼ねなく意見を述べることができ、自分らしくいられる文化」(エドモンドソン,2021)という考え方は、組織内参画(組織の所属感)の視点と関りがあると考える。したがって、所属感の認知と心理的安全性で指摘されていることは重複されるものがあるか、所属感の認知が高いから心理的安全性が高いのかなど、インクルージョンと心理的安全性の関係を分析する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究テーマは、ダイバーシティ・マネジメントによる組織変革プロセスモデルの開発である。これまでの研究で、ダイバーシティとインクルージョンの関係性を明らかにし、従業員の視点でのインクルージョンの構成要素(組織内参画、組織内公正)の研究が進んだ。ゆえに、概ね順調に進展していると考えている。次年度以降は企業側に視点を移していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究推進方策は2点ある。第1が日本における従業員のインクルージョン認知の質問項目を策定することである。これは、今まで海外で多くされているインクルージョン認知の質問項目が日本では当てはまらない点があると感じているからである(例えば、「直属の上司よりも上の管理職との会議によく参加させてもらう。」(Mor Barake,2017)や「直属の上司よりも上の管理職との会議で、自分の意見を述べるように勧められることが多い。」(Mor Barake,2017)など)。日本の雇用慣行や職場関係を包含した従業員のインクルージョン認知の尺度を考えたい。 第2は企業側に視点を移し、どのようなインクルージョン施策を行っているのかを幅広く経済紙等を使い企業の取組を集めることである。それと同時に、インタビュー調査を実施できる企業も合わせて探していきたい。 最終年では、従業員側の視点、企業の取組をあわせた組織変革プロセスモデルを開発していく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、旅費分が使われなかったためである。その旅費分も合わせて次年度は、インターネット調査を行う予定である。
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