2020 Fiscal Year Research-status Report
コンテンツ産業における優位性を持つプロデューサー・システムの比較実証研究
Project/Area Number |
19K01882
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Research Institution | Kawaguchi Junior College |
Principal Investigator |
山本 重人 川口短期大学, その他部局等, 准教授 (50533147)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | コンテンツ / プロデューサー / プロデューサー・システム / 製作組織 / 組織デザイン / コンテンツ産業 / ビジネスモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、芸術性および商業性双方で優れたコンテンツを開発できる組織および分業関係がいかなるものなのかを検討していくことで、マクロ組織の視点でコンテンツ産業の発展に寄与することを長期的な目的としている。そして、方法としては、各コンテンツの製作組織であるプロデューサー・システムの比較を行い、その差異を指摘する方法を採用している。 今年度の実績としては2つの論文が挙げられる。「芸能プロダクションのマネージャーから見たテレビ番組の製作組織」『川口短期大学紀要』第34号、pp.73-82と、「ビジネスモデル、戦略、デジタル化」『立命館経営学』第59巻6号、pp.19-44の2つである。 前者は、番組に出演するタレントを派遣する芸能プロダクションのマネージャーにインタビュー調査を実施したものである。調査の結果、バラエティ番組の製作組織においては、実力のあるタレントを中心においた分業体制の組織デザインを採用することが、経験的にビジネスで成功を収める上で組織デザイン的に有効なのかもしれない、というインプリケーションを得ることができた。 後者は、立命館大学経営学部の池田伸先生らとの共著論文である。昨今の経営学においてはビジネスモデルという分析枠組みが用いられている。本稿では、ビジネスモデルとは、従来言及されてきた「収益モデル」のカタログ、ビジネスモデル・イノベーション論者によるモデルの差分に注目するといった、これまでの立場ではなく、ビジネスモデルを、製品の出力までの生産要素の「結合」と、製品から発する「資本サービス」の享受とその支払いの関係である「収益モデル」との組み合せであると定式化した。コンテンツ産業においては、その製品であるコンテンツとそれをパッケージとして販売する企業(メディア)の間で、プロデューサーが結節点として要請されるプロデューサー・システムの存在がある、という仮説が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍が想像以上に長引いており、リモート授業に対応する負担増、対面を要する新規のインタビュー調査を実施しにくい環境にあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
できれば2021年の夏以降に新規のインタビュー調査を実施したいが、難しいようであれば本研究課題を1年延長することも視野に入れている。
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Causes of Carryover |
生じた理由は、コロナ禍が想定以上に長引いており、予定していたインタビュー調査が実施できず、旅費や謝金の支出ができなかったため。2021年度の夏以降に複数のインタビュー調査を行い、調整したい。なお、これまでの人的な繋がりを活用してインタビュー先を確保することは可能である。
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