2020 Fiscal Year Research-status Report
Strategic Human Resource Development from the Perspective of Diversity and Inclusion
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19K01885
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
二神 枝保 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (10267429)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ダイバーシティ / インクルージョン / 戦略的人材開発 / 日米欧比較分析 / 人的資源管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
ダイバーシティとインクルージョンは、世界的潮流である持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)において、重要な概念である。特に目標10では、人びとや国の不平等をなくすこと、つまり、年齢、性別、障がい、人種、民族、出自、宗教、経済的地位などに関わらず、すべての多様な人びとの社会・経済・政治的インクルージョンの促進をめざしている。ダイバーシティ(diversity)とは、人種、民族、国籍、ジェンダー、年齢、 身体的能力、宗教、文化、価値観等、人びとの多様性である。インクルージョン(inclusion)とは、社会の一員であると感じること、ありのままの自分が尊重され、評価されていると感じること、自分が最善を尽くすことができるような他の人からの支持力や貢献度を感じることをいう(Miller and Katz, 2002)。本年度は、まずヨーロッパの共同研究者たちと共同で、ダイバーシティとインクルージョンの視点から、戦略的人材開発について、日欧比較分析を行った。研究成果について、二神枝保『雇用・人材開発の日欧比較:ダイバーシティ&インクルージョンの視点からの分析』(中央経済社、2020 年)を出版した。また、学術図書として、Shiho Futagami et al. The Changing Global Environment in Asia and Human Resource Management Strategies(NOVA Science Publishers,2020)をアメリカ、ニューヨークで出版した。さらに、文献レビューに基づいて、二神枝保「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の視点からの戦略的人材開発(SHRD):理論的フレームワークに関する一研究」(『しごと能力研究』、2020年)を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
The 24th International Euro-Asia Research Conference 2019、およびRoundtable on the 25th International Euro-Asia Research Conference 2020での国際学会報告での議論に基づいて、ヨーロッパの共同研究者 Jacques Jaussaud 教授(Pau大学)、Julien Martine 教授(Paris大学)、Bruno Amann教授(Toulouse第3大学)、Erja Kettunen教授(Turku大学)、Philippe Debroux教授(Rennes大学)と共同で、ダイバーシティ&インクルージョンの視点から、戦略的人材開発について、日欧比較分析を行った。具体的には、フランス、ドイツ、フィンランド、ノルウェーなどD&Iのベストプラクティスとなる企業の人事担当者へのヒアリングを通して、ケース・スタディを分析し、ヨーロッパの企業の雇用・人材開発の課題を考察した。同時に、日本企業のそれとの比較も検討した。特に、女性、外国人、高年齢者、障がい者、非正規労働者など多様な人びとの雇用・人材開発の課題と展望について、ダイバーシティ&インクルージョンの視点から、検討・考察した。研究成果について、『雇用・人材開発の日欧比較―ダイバーシティ&インクルージョンの視点からの分析-』(中央経済社、2020 年)を出版した。現在、それをさらに発展させる形で、障がい者の人材開発について、日本とフィンランドの比較分析を継続している。研究成果について、国際ジャーナルへの投稿をめざして学術論文を執筆しており、進捗状況も順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は、ダイバーシティとインクルージョンの視点から、企業がどのように戦略的人材開発を行っているのか、そのことによって、企業が創造性や競争力を高めるのか、従業員がウェル・ビーイングや職務満足を高めるのかを明らかにすることである。次年度も本年度に引き続き、Jacques Jaussaud 教授(Pau大学)、Uschi Backes-Gellner (Zurich大学)、Julien Martine 教授(Paris大学)、Bruno Amann教授(Toulouse第3大学)、Erja Kettunen教授(Turku大学)と協力・連携しながら、ヨーロッパ(主にスイス、ドイツ、フランス、フィンランド)企業の人事担当者へのヒアリング調査を実施する。そして、ダイバーシティとインクルージョンの視点から、ヨーロッパ企業の戦略人材開発の実態を分析し、日欧比較を行う。また、アメリカ企業に関しては、研究代表者(二神)はMIT(Massachusetts Institute of Technology)のLotte Bailyn 教授と研究打ち合わせを行う。アメリカ企業のベスト・プラクティスのケース・スタディも進め、その現状と課題を整理する。さらに、障がい者の人材開発について、日本とフィンランドの比較分析も行う。障がい者への職業教育・訓練を実施することによって、障がい者のウェル・ビーイングや職務遂行能力がどのように向上するのかについても、実証分析を行う。国際会議 The 25th International Euro-Asia Research Conference 2021において、こうした実証分析研究の成果の一部を報告する。そして、それに基づいて、学術論文を執筆し、国際ジャーナル(International Labour Review等)へ投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
2020年10月ダブリン、アイルランドで開催される国際会議 The 25th International Euro-Asia Research Conference 2020での報告のため、海外出張を計画していたが、コロナ感染拡大のため渡航を中止したため。事態が終息すれば、昨年計画していたフィンランド企業のD&I戦略についてのヒアリングの実施、および海外共同研究者との打ち合わせのために、ヘルシンキとダブリンへの海外出張を実施したいと考えている。
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Research Products
(5 results)