2022 Fiscal Year Research-status Report
組織成果を向上させるクロスボーダー人材のマネジメント
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19K01897
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
内藤 陽子 東海大学, 経営学部, 准教授 (80710912)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 知識移転と組織定着のバランス / コンフリクト / 認知的多忙 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、企業における海外派遣後の帰任者に関する研究を従業員移動に位置付け、組織成果の向上に向けたマネジメント方法を導出するために、以下の7つの領域に分けることとした。以下の①は、国際会議でのワークショップでの報告を踏まえて修正し、2023年5月に投稿する。また、②から⑦の研究は、引き続き構成と文章化に取りかかり、2023年度以降順次、投稿できるように取り組んでいる。 ①「帰任者の知識移転と組織定着の両立に関する研究」では理論的枠組みを構築した。知識移転を担う帰任者は、一般に帰国後の新組織への定着も担うが、先行研究では両者が両立すると仮定するにとどまり、その関係が解明されていない。また、各々の既存モデルを単に合わせるだけでは、その間に生じるコンフリクトを見過ごしてしまう。そこで、組織定着のアイデアを導入し、知識移転とのバランスをとるための研究を行った。②「従業員移動を通じた知識移転フローの円滑化の研究」では、「サイバネティクス」を応用した5段階プロセスと、知識フロー上のバリアを明示し、組織の論理と個人の論理に注意を払いつつ検討した。③「知識の移転者である帰任者の知識移転モチベーションの研究」では、実証研究に向けて、移転モチベーションの促進要因を特定した。④「従業員移動における帰任の特徴と課題に関する研究」では、帰任者が保有する知識の価値、帰任者の移転者としての適性、移動目的と知識移転の困難さとの関係を明らかにし、帰任者活用に向けた提案を行うよう進めた。⑤「就業能力と組織社会化にかんする研究」では、日本企業において主に若年層の就業初期に求められる一般的就業能力の類型化を進めた。⑥「海外経験者を活用するその上司を対象にした組織マネジメントに関する研究」では、帰任問題の整理も併せて検討した。⑦「帰任に関するレビュー研究」は、以上を投稿した後に着手できるよう準備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度に研究レビューを入念に行った結果、研究を7つの領域に分けて行うこととした。それらを出版するには、かなりの時間を要するためである。また、コロナウイルス感染症対策として開始したオンライン授業の充実化などに相当の時間を費やしてきた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度まで行ってきた「帰任者の知識移転と組織定着の両立に関する研究」は、国際会議でのワークショップ(3月)に採択されたので、そこでの報告を踏まえて修正し、2023年5月に投稿する。また、「従業員移動を通じた知識移転フローの円滑化の研究」「知識の移転者である帰任者の知識移転モチベーションの研究」「従業員移動における帰任の特徴と課題に関する研究」「就業能力と組織社会化に関する研究」「海外経験者を活用するその上司を対象にした組織マネジメントに関する研究」「帰任に関するレビュー研究」は、引き続き構成と文章化に取りかかり、2023年度以降順次、投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画を変更し、研究を7つの領域に分けて遂行することとした。これまでに生じていた余剰額は、これらの出版に要する費用に充当させていただく予定である。
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