2021 Fiscal Year Research-status Report
An empirical examination of salespersons' value co-creation orientation
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19K01902
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小菅 竜介 立命館大学, 経営管理研究科, 教授 (80755471)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 複線径路等至性アプローチ / 顧客ドミナントロジック / 人生テーマ / セレンディピティ |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、2020年度に見出された顧客中心の視点をさらに発展させた。特に、CDロジック(カスタマー・ドミナント・ロジック)とTEA(複線径路等至性アプローチ)にもとづき、顧客の人生テーマについて検討を行った。具体的には、インタビューを通じて、購買意思決定の文脈を超えて顧客の人生にかかわる径路をとらえ、複数の「分岐点」とそこでの意味創造に焦点を当てることで、背後にある人生テーマをとらえることを試みた。住まい探しを題材として3つの事例を分析した結果、この方法の妥当性に加え、人生テーマという概念の意義が明確になった。すなわち、人生テーマの観点から事業のあり方を考えることで、プロバイダー視点を克服し、顧客にとって価値ある新しいサービスを構想できることが示唆された。この内容については、2021年10月に実施された日本マーケティング学会カンファレンスで共同報告を行った。 また、以上の視点と情報学における文献にもとづき、2020年度に注目した「製品との予期せぬ出会い」という現象について、セレンディピティという概念を用いて改めて検討した。具体的には、製品との出会いを起点としてポジティブな人生展望の構築に至る一連の意味創造プロセスを概念化した。これにより、製品との出会いをいかに設計すべきかについて示唆が得られた。 以上より、研究実施計画で焦点を当てた「価値共創」という概念を、営業担当者がいかに顧客の人生にかかわる文脈を把握し、顧客の予期せぬ意味創造プロセスを促進するかという観点からとらえ直すに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
消費者を対象とする定性調査に時間がかかったため。また、新型コロナウイルスの感染拡大により、営業担当者へのインタビューが思うように進まなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに明らかになった知見をモデルとして整理し、夏期をめどに質問票調査を実施する。2022年内には、データ分析の結果と考察をまとめる。それに先立ち、定性データにもとづく理論的検討の成果について、2022年5月に英語論文の投稿を予定している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染状況により調査や学会報告のための旅費を使用しなかったこと、また、質問票調査の実施に至らず、そのための費用を使用しなかったことが、次年度使用額が生じた理由である。この額は、主に追加定性データ収集のための人件費、質問票調査実施費、そして論文投稿費として使用する計画でいる。
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