2019 Fiscal Year Research-status Report
ソーシャルベンチャーのリーダーシップ特性と持続可能性に関する組織間の比較実証研究
Project/Area Number |
19K01904
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Research Institution | Osaka University of Commerce |
Principal Investigator |
松永 佳甫 大阪商業大学, 公共学部, 教授 (60325561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 祐 宮城大学, 事業構想学群(部), 准教授 (20455554)
金谷 信子 広島市立大学, 国際学部, 教授 (20509062)
松島 みどり 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (20634520)
西出 優子 東北大学, 経済学研究科, 教授 (60451506)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 感情知性 / 社会的企業 / リーダーシップ特性 / 社会的起業(企業)家精神 |
Outline of Annual Research Achievements |
ソーシャルベンチャーの場合、リーダーのカリスマ性が色濃く表れるため、リーダーシップ研究のほとんどがケーススタディーに留まり、リーダーシップ特性が普遍化されてこなかったという学術的背景が認められる。ソーシャルベンチャーのリーダーは、経済的目的(利潤の追求)と社会的目的(社会問題の解決)の両方を追求するため、経済的目的達成のために経営スキルの研鑽がもとめられると同時に、社会的目的達成のために社会起業(企業)家精神の醸成が求められる。本研究に通じるこれまでの研究では既に、Dees(1998)による社会起業(企業)家精神の定義から、ソーシャルベンチャーのリーダーの社会起業家精神を指標化し計測する方法を開発している。2019年度の研究では、社会起業家精神に加え、Goleman (2005)によるリーダーの感情知性(self-awareness, self-regulation, motivation, empathy, social skillの5要素により構成される)を指標化し計測する方法の開発に向け、感情知性に関する先行研究調査などの基礎研究を行った。社会問題の解決につながらない事業をソーシャルベンチャーは行わない。そして社会問題の解決には多様な組織、多様な人々との協働が欠かせない。特にNPOの組織形態を持つソーシャルベンチャーにそれは顕著であると考える。先行研究より、ソーシャルベンチャーのリーダーシップ特性は、私的財を生産し、市場において他組織と協働するより、むしろ競争しながら、利潤を追求する営利組織のリーダーシップ特性とは大きく異なる。また、ソーシャルベンチャーのリーダーは私的財を生産・供給する営利企業のリーダーより、高度なEQが求められると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、持続可能なソーシャルベンチャーのリーダーシップモデルを構築するために、先行研究を収集した。具体的には、Coleman (2005)による成功するリーダーの特性である豊かな感情知性(Emotional Intelligence)を構成する5つの要素(self-awareness、self-regulation、 motivation、 empathy、social skill)とその他のリーダーシップ特性についての先行研究を収集・分析し、これらの要素の指標化方法について研究を深めた。成功するソーシャルベンチャーのリーダー特性を明らかにしたリーダーシップモデルの構築に向けて準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、リーダーの感情知性(EI:Emotional Intelligence)の指標化を完了し、それをアンケート調査により計測する方法を確立する。一方、持続可能なソーシャルベンチャーを構築するために特に重要なことは、組織がビジネス上、不利な環境下にあるときのリーダーの危機管理能力である。そこで、このような環境に組織が直面した時、それに適切に対峙する能力を測る指標(Covin and Slevin,1989)をアンケート調査に組み入れ、持続可能な組織を担保しつつ、組織を更に発展させることのできるリーダーシップモデルを構築するためのアンケート調査票を作成する。加えて、ソーシャルベンチャーのリーダーの感情知性と危機管理能力をアンケート調査により定量化し、定量分析の手法を用いてソーシャルベンチャーの持続可能性を担保し発展させることのできるリーダーの特性を明らかにする。 なお、新型コロナウイルス感染症の影響を鑑み、2021年度にアンケート調査の実施を順延し、研究期間も1年順延する可能性がある。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症に起因する支出計画変更が生じた。新型コロナウイスル感染症の状況が好転すれば、翌年度分として請求した助成金と合わせ、研究代表者および研究分担者による研究会開催のための旅費の一部として使用する予定である。
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