2019 Fiscal Year Research-status Report
企業と地域をつなぐ「学びの共同体」構築の研究ー介護施設の事例研究を中心に-
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19K01905
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
松本 雄一 関西学院大学, 商学部, 教授 (10336951)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 実践共同体 / 実学集合型実践共同体 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は研究テーマの調査の一環として、2つの研究活動をおこなった。 1つめは地域と介護施設のつながりを作るための概念整理である。注目したのが「実学集合型実践共同体」である。これは非専門家や地域の人々を巻き込むための実践共同体であり、そのために必要な点や実践共同体の構築についての文献検討を行った。実践共同体のテーマについて関心のない非学術参加者をいかに参加させるかを重視した実践共同体、「実学集合型実践共同体」について紀要論文にまとめるとともに、その萌芽的事例研究を、ヨーロッパ組織学会(イギリス・エディンバラ)において研究発表した。海外研究者からの反応も良く、応用可能性のある概念であると感じた。現在他の研究プロジェクトにおいては、環境問題の解決に向けて実学集合型実践共同体を構築する事例研究を行っており、お互いの成果を応用できると感じた。 もう1つは実際の介護事業の事例研究である。こちらは学習療法センターがまさに今取り組んでいる事業であり、地域の介護事業者と行政を巻き込んだプロジェクトである。現在進行形のプロジェクトということで、調査は難航したが、まずはそのプロジェクトの概要と現状を理解するためのヒアリング調査を行った。その結果、成功例といえるプロジェクトの1つにヒアリング調査を行うことができた。これは地域のアントレプレナーシップをもった事業者によって実現したものであり、その実現過程や重要な点について把握するとともに、このような成功例をまとめることが今後の活動につながると感じた。今後も同様の事例を調査していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の通り、研究の成功の鍵は、実学集合型実践共同体の構築のための知見を集積することと、事例研究を進めていくことである。前者については論文、学会発表、および関連研究の事例研究と順調に進められており、順調に推移している。後者については事前の予想に反してスムーズに協力が得られなかったが、窓口の企業へのインタビュー調査、および実際の事例について、インタビュー調査を1件行うことができた。この意味は大きく、今後の調査に向けて道筋をつけることができた。以上の理由から研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は事例研究の蓄積をおこなうことが最も求められることである。具体的には介護事業者や行政担当者について、地域レベルで介護事業を行う上での実践共同体の構築について、インタビュー調査と観察調査を行う。あわせて関連研究を同時に行うことで、実学集合型実践共同体の知見を蓄積したい。 研究を進展する上での課題は、新型コロナウイルスの蔓延状況である。この影響は大きく、調査する地域を巻き込んだ事業も、その知見をまとめた大規模イベントも中止を余儀なくされている。最悪の事態を想定すれば、今年度は事例研究はまったく進めることができないことも十分考えられる。その場合は文献検討など、できる範囲で研究を進めていきたい。
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