2021 Fiscal Year Research-status Report
サービス組織における倫理的行動の促進モデルに関する研究
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19K01907
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
柴田 好則 松山大学, 経営学部, 准教授 (50612454)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 倫理的行動 / 人的資源管理 / 行動倫理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヒューマン・サービスを提供する企業組織における倫理的行動のマネジメント・モデルを探索することを目的としている。具体的な研究課題として、サービス組織における倫理的行動の実態の解明、倫理的行動に寄与する認知能力、技能・知識の特定、倫理的行動を促進あるいは阻害する組織的な要因の特定を設定している。 今年度は、上記の研究課題を明らかにするためのアンケートおよびインタビュー調査にあたっての予備的研究をおこなった。はじめに倫理的行動に寄与する人的資源管理に関する先行研究を展望し、その結果を論文にまとめた。行動倫理研究における理性的アプローチと直観的アプローチの知見を整理したうえで、2つのアプローチから導出される人的資源管理(採用,教育訓練,職務設計,評価・報酬)の形態について検討した。理性的アプローチは人々の行動を理性的・意識的な過程として捉える立場であるのに対して,直観的アプローチは人の行動がより直観的・自動的であることを強調する立場であること、さらにこれらのアプローチに基づく人的資源管理もその内容と方向性が異なることを確認した。 後半はDavid Cremerらが主導する国際プロジェクトに加わり、高度技術の活用における倫理的課題等についての予備的研究を行った。具体的にはtechno-solutionism scaleなどの尺度の逆翻訳、それらを国際比較するためのデータ収集の準備を実施した。人工知能などの高度技術は各種サービス組織の現場において様々な形で活用が進んでいることから、利用時の倫理的課題や個々人の理解度の解明は組織倫理研究においても重要なトピックになっている。次年度は、オンラインアンケート調査を通じてデータ収集と分析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、当該研究を進めていくうえで下地となる概念や枠組みをおおむね整理することができた。しかし、コロナ禍で予定していたアンケート調査やインタビュー調査の実施をすることが困難となり、研究課題を詳細に検討することができなかった。これらの点を考慮して、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に構築した枠組みをもとに、倫理的行動に寄与する認知能力、技能・知識の特定、倫理的行動を促進あるいは阻害する組織的な要因を特定するための実証研究を実施する予定である。ヒューマンサービス業界の従業員を対象とした調査を準備中であるが、その代替案としてオンラインサーベイによるデータ収集なども検討中である。並行して国際プロジェクトのデータ収集も実施し、高度技術が職場の働き方に及ぼす影響やその倫理的な課題についても検討していく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で当初に計画していたアンケートおよびインタビュー調査を実施することができなかった。そのため次年度は、主にアンケート項目の翻訳依頼、アンケート調査(オンライン含む)の実施費用、インタビュー調査の旅費、研究会・学会での研究報告の旅費として助成金を活用する予定である。
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Research Products
(3 results)