2020 Fiscal Year Research-status Report
モジュラー型製品開発戦略の持続可能性と新たなプロジェクトリーダー
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19K01909
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
柴田 友厚 学習院大学, 国際社会科学部, 教授 (10380205)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | モジュラー戦略 / 製品アーキテクチャー / プロジェクトリーダー |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、経営学および実業界において、できるだけコストをかけずに多様なニーズに応えようとするモジュラー戦略の重要性が増大している。その中で本研究は、モジュラー戦略を持続的に成功に導くために、デザイン・ルールの策定と遵守に責任を持つプロジェクトリーダーの役割に着目する。それは先行研究で明らかにした従来から言われている重量級プロジェクとは、異なる役割を持つはずであり、それをモジュールリーダーと称する。そして複数の事例分析により、モジュールリーダー役割と目的を明らかにすることに加えて、重量級プロジェクトリーダーとの関係などを明らかにする。 本年度は2年度目であり、従来から継続している日産自動車の定点観測に加えて、業種がことなる企業として、工作機械産業の牧野フライス製作所や空調機大手のダイキン工業の調査を継続した。両社ともに、従来の製品開発戦略ではいずれ限界に直面することを認識して、モジュール戦略に切り替えた例であり、興味深い例である。 特にダイキン工業はグローバル化の成功例として引き合いに出されることが多いのだが、その背後には、実はこのような製品開発戦略の転換があり、それがグローバル化の成功を後押ししたことがわかってきた。さらに、それに伴って製品開発体制も日本一極集中型からグローバルな5極分散型へと転換して、世界中の開発拠点に蓄積されている技術やノウハウなどを全体最適の観点からグローバルに流通させ共有させる体制を作り上げたのである。そのような観点を入れ込んだ論文を現在執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、開発プロジェクトに関する詳細な事例分析を必要とするために、フィールドワーク中心の研究方法にならざるを得ない。しかし、新型コロナの蔓延により、企業へのインタビュー調査や現地視察の実行が大変厳しい状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、コロナの感染状況を睨みながら、企業への実地訪問ではなくて、Zoomを使用しての企業へのインタビュー調査へ切り替えることを検討している。また、財務諸表分析や特許分析、さらに質問票を配布しての調査に切り替えることも検討している。
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Causes of Carryover |
本研究では、企業現場を訪問してインタビューや視察を行うフィールドワーク研究を軸にしているが、コロナ禍のために十分な企業調査ができなかったためである。本年度はフィールドワークの可能性を追求するとともに、同時に質問票調査で一定程度代替すること、およびZoom等を活用することを予定している。
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