2021 Fiscal Year Annual Research Report
Study on organizations enhancing creativity through data analysis of behavior and emotion in workplaces
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19K01910
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
稲水 伸行 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 准教授 (50572830)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 経営学 / 組織行動論 / クリエイティビティ / シミュレーション / ビッグデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「組織風土・感情・行動(コミュニケーション)がどのようにクリエイティビティと連関するのか」を明らかにすることである 。日本企業にお いてクリエイティビティを高めることは喫緊の課題である。欧米では、持続的な特性である組織風土から、日々刻一刻と変動する感情や行動との関係が探求されるようになってきている。しかし、組織風土・感情・行動の3つを同時に計測しながらクリエイティビティを促す組織に迫った研究に至っていない。こうした研究には、組織の「マイクロ」な「ビッグ」データを複数の側面から時系列で取得し解析する必要があるのだが、これを実現するためのハードルはかなり高い。さ らに、こうして得られた解析結果をもとに実務的にも耐えうるようなモデル化には至っていない。この課題に取り組むのが本研究である。 本研究の3年目となる2021年度には、昨年度から継続して分析を行い、その成果はAcademy of Managementのproceedingsに採択が決まった。また、同様の結果が頑健に得られるかを検証するため、別の企業2社に対してほぼ同様の調査を行うことができ、分析を進めているところである。特に、今年度に得られたデータは、コロナ禍の影響を踏まえた貴重なものであり、今後は継続して分析を行い、国際学会・学術誌での発表を計画している。また、感情とクリエイティビティの関係の観点では、ある企業でオンラインでのアイデアソンを企画し、そのプロセスを定性・定量の両面から解析した。その結果、従来考えられていた「アイデアの発散から収束」という単純なプロセスではなく、「発散と収束が一体となって深掘りと昇華が繰り返されるプロセス」の方が、チームとしての創造性だけでなく、その後の継続的な活動にも寄与することが示唆された。この成果は国内学会で報告されたほか、国際学会での報告も検討している。
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