2020 Fiscal Year Research-status Report
Research on organizational behavior for organization development with a narrative approach
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19K01917
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
吉永 崇史 横浜市立大学, 国際商学部, 准教授 (40467121)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 組織開発 / 組織行動 / ナラティブ / 対話 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ナラティブ・アプローチに基づく組織開発に求められる組織行動とは何かについて明らかにすることである。近年のICT(情報通信技術)やAI(人工知能)技術の著しい発展や、急速に進むグローバル化において、組織が長期的な持続を図ろうとするためには、絶え間ない組織開発が不可欠である。不確実性の中からイノベーションを実現するための組織開発に求められる組織行動について、実証的に明らかにする。 2020年度においては、以下の3つの成果を得ている。 1.神奈川県内の病院組織を対象として、ナラティブ・アプローチに基づく組織開発のアクション・リサーチを実施している(2021年度も継続実施予定)。計12名の医療従事者を対象として計4回の研修を計画し、オンラインで実施している(うち3回が実施済)。本研究の問いに対する答えとして「対話のファシリテーション」が得られつつある。 2.鳥取県智頭町をフィールドとした対話型コミュニティ開発についてのアクション・リサーチの意義と課題についての論考を出版した上で、コロナ禍の下でのアクション・リサーチを模索し、現地の人びとと学生との協働によるオンラインでの「対話」を通じた地域活性化(コミュニティ開発)の取組みを行った。2020年度は、智頭町の魅力を地域内外の多くの人に「オンライン」で届けるために、1)おうちで智頭鍋プロジェクト、2)バーチャルプレゼン大会、3)クラウドファンディングを実施した。 3.横浜に関係する大企業、地元中小企業、ベンチャー企業、NPO、大学、市民、行政などの若手メンバーが、組織やセクター、エリアの枠を越えて「イノベーション都市・横浜」の未来を創造する、対話型・継続型・実践型のまちづくりプロジェクト「横浜をつなげる30人」を、芦澤美智子横浜市立大学准教授と共に立ち上げ、アクション・リサーチを実施している(2021年度も継続実施予定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナ禍の下で、現地に赴いてのアクション・リサーチが実質的に不可能となり、オンラインでの実現可能性を模索した。その中で、病院組織、鳥取県智頭町、横浜をつなげる30人、の3つの組織・コミュニティにおいて、ナラティブ・アプローチに基づく組織開発のアクション・リサーチを実施する環境を整えることができた。その一方で、新型コロナ感染拡大に伴い、活動そのものが遅延する(例えば、予定していた研修が延期となる)事態も生じている。そのようなやむを得ない事情での研究スケジュールの遅れを許容しつつ、柔軟に研究を実施していく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、組織(コミュニティ)開発のプロセスについての定性的な分析を通じて、本研究の学術的問いである「ナラティブ・アプローチに基づく組織開発に求められる組織行動とは何か」について明らかにしていく必要がある。その答えとしての「対話のファシリテーション」に着目しつつ、組織(コミュニティ)開発のプロセスでの当事者間のインタラクションや、アクション・リサーチに従事する研究者の影響についても分析していく。既に設定している組織行動論の観点であるリーダーシップ、フォロワーシップ、コーチングの働きについても合わせて検討していく。
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Causes of Carryover |
「横浜をつなげる30人」の活動記録としての音声の文字起こし費用として当該研究費を使用していたが、今年度最後の活動が3月24日であり、当該日の文字起こし対象音声量が予想よりも少なく、当該費用が見積もりよりも少なくなったため。次年度は、主に、活動記録やインタビュー調査の文字起こし、書籍等に研究費を充当する予定である。
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