2020 Fiscal Year Research-status Report
組織制度と取引関係の“協力”への影響 ―成果主義・モジュール化、そして協力―
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19K01919
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
幸田 達郎 文教大学, 人間科学部, 教授 (30468368)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 日本企業 / 日本文化 / モジュール / 擦り合わせ / 日本的経営 / 新制度派経済学 / 取引費用 / チャレンジ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、取引構造の違いが企業間の担当者レベルに何を引き起こすのかを統計的に解析した。従来の強みと思われるものに主に影響していたのはオープンな取引におけるモジュール化であった。オープンな取引であってもインテグラルな作り込みを行うことにより強みを活かし続けることが有効であることが示唆された。①査読論文として、国際戦略経営研究学会の学会誌に「取引のモジュール化により日本企業の強みは失われるか -企業間取引担当者(境界連結者)への量的調査-」が採択された。 学内の紀要としては、②人間科学研究に「企業不祥事の心的側面 ―企業文化との関係―」を投稿。③生活科学研究に「職場で必要とされる能力 -webアンケートによる実態調査―」を投稿。④湘南フォーラムに「組織形態とテレワークのコミュニケーション ―コロナの時代におけるコミュニケーションの課題―」⑤Shonan Journalに「Corporate Strategy Theories Suitable for Catastrophic Environmental Changes such as the COVID-19 Pandemic: Positioning School and Resource-based View Examination」を投稿した。 さらに、⑥書籍として「基礎から学ぶ 産業・組織心理学」(勁草書房から単著)を出版した。 以上、具体的に6つの研究成果を得た。当初の研究目的には無かったことだが、どうしてもコロナ禍の影響は避けようがなく、コロナ禍を視野に入れた研究(④⑤)など、研究上、考慮すべき対象が広がっている。コロナ禍が予想以上に長引いているために現地調査が進んでいない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画していた現地取材・インタビューがまったく行えない状態である。 その分、量的研究で研究を補完している。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナの状況次第ではあるが、現地取材・インタビュー部分を進めたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、本年度も昨年度に引き続き出張による現地取材が出来なかったことが大きい。 次年度には、本年度までにできなかった出張による現地取材を考えているが、コロナ禍の状況をみて、研究期間の1年間延長も視野に入れている。このことは、ワクチン接種がどれだけ広がり、その効果によりどれだけ、企業間および企業内の人間関係やコミュニケーションが従来レベルに戻るかに依存している。コロナ禍の下での企業間・企業内の情報すり合わせの形態は、コロナ対応の下では、ある程度、一過性のものであり、それが元に戻らないと、一種の特殊条件の下での調査になってしまい、通常の状態を調査するという当初の意図とズレが生じてしまうという懸念があるからである。そのために上述のような状況適応的な計画で臨んでいきたいと考えている。
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