2019 Fiscal Year Research-status Report
The effect of full-time male workers' attitude and behavior on workplace diversity
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19K01920
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
加藤 恭子 芝浦工業大学, デザイン工学部, 准教授 (20600638)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ワーク・ライフ・バランス / 男性正規雇用労働者 / インクルージョン / 職場のマジョリティ / 質的調査 / 人事政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、多様性が尊重される環境の中で労働者が各自のワーク・ライフ・バランス(WLB)を実現できる職場を構築するための手がかりを、今まで主な研究対象となっていない男性正規雇用労働者の意識や行動を掘り下げていくことで見つけだそうとするものである。インクルージョンという概念のもとでは、彼らも多様性やWLB問題の一部であり、職場のマジョリティである彼らの意識や行動をたどることで、様々な問題の当事者だけでなく職場の全ての人材が活躍できるようになるのではないだろうか。自身の調査から得た知見を軸に調査規模を拡大しより効率的な質的調査を実施すること、そして新たな比較調査から得られる知見をもとに、職場において上述の労働者全てがお互いを尊重しながら共存できる環境を、企業の人事政策として提案することを本研究の目的とする。研究期間の3年間で達成すべき目標は3つある。1つ目は現在行っている調査の規模を拡大することと、インタヴューを半構造化し、質的とはいえデータとして比較・検討しやすい形にすることである。2つ目は、先進諸国(特に米国)における男性正規雇用労働者の意識の変遷をたどることと、彼らへのインタビューを実現することである。3つ目は、日本とアメリカ両国から得られた知見をもとに、職場において上述の図1にある①、②、③に属する労働者が共存できる環境を、企業の人事政策として提案し、職場でのパイロットスタディを実行することである。これら3つを2019年度、2020年度、2021年度それぞれの目標とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年度は調査規模の拡大とインタヴューの半構造化を研究の軸と考えていた。現在まで作業を進めている2つの調査は、資金的な限界もあり調査の対象・数が限定されているが、調査の対象を拡大することで一定の割合で知見を般化できる可能性が高める。そのためにはインタヴューを半構造化し効率よく実施することも大切であり、今までの調査で明らかになったロジックを概念的フレームワークの形に落とし込む作業も先立って行うことが先決と考えていた。 今年度は幸運にも本助成を得ることができたが、申請書にも記したとおり、転籍(芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科からデザイン工学部への転籍)後、今まで一度も担当したことのない授業を新しく10科目(全12科目中)担当した。前期6科目、後期6科目の授業をこなすことで精一杯の日々が続いた。この新しい環境に加え、父親及び母親両方の介護(要介護3の両親が入退院を繰り返した)に追われた。徘徊を繰り返す入院中の父親の、夜中の付添を病院から強制させられたり、母親の施設探しに奔走する日々が続き、自分の最低限の健康と生活を維持することで精一杯であった。このため、残念ながら大きな成果をあげることができなかった。 こうした状況下で唯一進歩を遂げられたのは、この科研費の考え方を一つの論文の形にまとめ学会に提出することができたことである。タイでの国際学会で2020年7月にオンラインにて発表予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、当初先進国における男性労働者の意識や行動についてのインタヴューを実現する予定であった。その変遷を丁寧になぞることで、日本の職場で応用可能な知見や要素を見つけ出すことができると考えており、インタヴュー先は調査の実現可能性と日本への応用を考え、米国を想定していた。この外国の知見は筆者の留学先の指導教官(男性)が発した「自分の親の時代より、自分のほうが仕事以外の生活にかける時間やエネルギーはずっと多い」という一言がきっかけで生まれた。職場の多様性やWLBに関しては日本の先を行く欧米諸国も、意識の変革プロセスにはいくつかのターニング・ポイントがあったはずである。諸外国における男性労働者の意識や行動についてその変遷を丁寧になぞることで、日本の職場で応用可能な知見や要素を見つけ出すことができると考えた。 しかしながら今年度に関しては、このコロナの状況下で海外に直接出向いてインタヴューを行うことは難しい。したがって、昨年度進捗が芳しくなかった昨年度の研究を終わらせることを最初のゴールとすることとする。この状況下で遠隔でのやりとりが一般化してきており、遠方の人に直接合わずともオンラインで話を聞くという依頼も格段にしやすくなった。オンラインインタヴューなど新しい可能性も開けてきたといえる。移動時間等をセーブすることで、より多くの人からの声を集められればと考えている。また、時差等の問題を解決できれば、海外の労働者へのインタヴューの可能性についても探ってみたい。
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Causes of Carryover |
進捗の遅れが一番の要員である。冒頭でも記したが、転籍(芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科からデザイン工学部への転籍)後、今まで一度も担当したことのない授業を新しく10科目(全12科目中)担当した。前期6科目、後期6科目の授業をこなすことで精一杯の日々が続いた。この新しい環境に加え、父親及び母親両方の介護(要介護3の両親が入退院を繰り返した)に追われた。徘徊を繰り返す入院中の父親の、夜中の付添を病院から強制させられたり、母親の施設探しに奔走する日々が続き、自分の最低限の健康と生活を維持することで精一杯であった。このため、残念ながら大きな成果をあげることができなかった。
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