2019 Fiscal Year Research-status Report
女性研究者の仕事と私生活における役割間の葛藤と相乗効果に関する研究
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19K01934
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Research Institution | Kyushu Women's University |
Principal Investigator |
篠原 さやか 九州女子大学, 共通教育機構, 准教授 (90618224)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 女性研究者 / ワーク・ライフ・バランス / キャリア / ワーク・ファミリー・コンフリクト / ワーク・ファミリー・エンリッチメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、わが国でさらなる活躍が期待される女性研究者に着目し、仕事と私生活における役割間の葛藤(ワーク・ファミリー・コンフリクト)と相乗効果(ワーク・ファミリー・エンリッチメント)の関係性について検証することを目的とする。特に、家族形成期にあたる女性研究者に焦点をあて、①ワーク・ファミリー・コンフリクトに対して、どのような対処(コーピング)を行っているのか、②コンフリクトをかかえる女性研究者にとって、ワーク・ファミリー・エンリッチメントの経験はキャリア形成にどのような影響を及ぼすのか、という2つの問いについて、3ヵ年のインタビュー調査とアンケート調査をもとに明らかにするものである。 2019年度は、主に家族形成期にあたる女性研究者に対するインタビュー調査をスノーボール方式で展開し、仕事・研究活動と私生活においてどのような葛藤を経験しているのか、また、葛藤を経験した際の対処方略について調べた。研究者・大学教員のどのような職務の特徴が、私生活とのコンフリクトを生じやすいかについても知見を得た。 また、これまでに実施したアンケート調査から得られたデータを利用し、女性研究者が経験するワーク・ファミリー・コンフリクトの水準について、女性技術者との比較を実施した。ワーク・ファミリー・コンフリクトには、仕事上の役割によって家庭内の役割が十分に果たせないことを表す「仕事から家庭へ」のコンフリクトと、家庭内の役割によって仕事上の役割が十分に果たせないことを表す「家庭から仕事へ」のコンフリクトの2方向がある。データ分析の結果、女性技術者にくらべて、女性研究者は、「仕事から家庭へ」のコンフリクトをより強く経験していることが明らかになった。インタビュー調査やアンケート調査の分析を通して、上述した事柄を明らかにできたことは、本研究の今後の展開にとって重要であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
家族形成期にあたる年齢層の女性研究者に対するインタビュー調査を、おおむね計画通りに実施できているため。また、これまでに実施した調査データをもとに、ワーク・ファミリー・コンフリクト(仕事と家庭内の役割間の葛藤)に関する分析を実施し、その結果を学会で発表することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度の前半は、女性研究者へのインタビュー調査を継続して実施する予定である。スノーボール方式での調査展開を計画している。関東、関西、中部などでのインタビュー調査が困難な場合には、主にこれまでにインタビュー実績のある対象者に対して、電話やオンラインシステムによるインタビュー調査を実施する。 来年度後半には、インタビュー調査から得られた知見をもとに、オンラインによるアンケート調査を実施する計画である。20歳代後半から50歳代前半の大学・研究機関に所属する男女研究者(理系・文系)を対象とし、調査項目は50問程度、目標サンプル数は1,500程度とする。調査の実施は、全国の男女研究者のモニターを有するオンライン調査会社に委託する。
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Causes of Carryover |
研究用ノートパソコンの購入および国際学会への参加を見送ったため、次年度使用額が生じた。次年度、研究用ノートパソコンとソフトウェアを購入する計画である。また、当該年度に国際学会に論文を提出し、発表の採択が通知されているため、その際に使用する。
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Research Products
(1 results)