2021 Fiscal Year Research-status Report
アジア新興国の現地法人におけるマーケティング組織の構築
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19K01936
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
上原 渉 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 准教授 (30515060)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 海外現地法人 / マーケティング / 駐在員 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍の影響で現地調査ができないだけでなく、海外現地法人の在り方や駐在員の役割が変わりつつある。したがって、コロナ禍の駐在員の役割について改めて文献調査と聞き取り調査(オンライン)を進めた。 多国籍企業の駐在員は、本社・現地法人間の知識移転や、マーケティング活動の現地化、現地採用社員の管理や調整といった役割を担っている(Vlajcic et al., 2019; Dahms, 2019; Petison & Johri, 2009; Varma et al., 2012)。しかし、2020年以降のパンデミックをきっかけに、多くの多国籍企業で駐在員を帰国させる動きが見られた(Financial Times, 2020)。これは、駐在員や現地法人の機能の多くを停止させる一方で、駐在員という現地法人にとっての大きなコスト要素を低減させるという、プラスの点もある。本社に帰任した駐在員は、ZoomやTeamsといったオンライン会議システムを使って現地法人の管理を維持しようと努力している。こうした新たな市場環境・技術環境下における現地法人組織のあり方は、本研究の計画段階での想定を超えた状況である。 文献調査に加えて、海外駐在経験者やJETROの担当者に対して聞き取り調査を実施し、新たな環境下における現地法人組織のデザインについて知見を収集している。オンライン会議システムによってこれまでの駐在員機能が代替可能なのかどうかも含め、引き続き聞き取りを進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍の影響で調査ができないだけでなく、調査対象となる海外現地法人の在り方が大きく変化してしまった。2021年度は改めて文献調査や聞き取り調査を行い、新たな視座と仮説を構築する作業を行った。現地に出張することができないものの、オンライン会議システムを使って、一部の調査を進めることができている。しかし、ミャンマーの政変が続き、調査対象者である駐在員の数が減ってしまったことで、計画の一部は実施不可能であると判断した。 研究期間の延長を念頭に、大学の出張許可を待ちながらオンライン会議システムでの代替も含めて調査・研究を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ポスト・パンデミックの新興国現地法人の在り方を考えるために、駐在経験者への聞き取り調査を進めつつ、駐在員を戻した企業と駐在制度を廃止・縮小した企業を対象とした調査を進める予定である。 2022年度中に調査出張ができれば、新たな現地法人組織のあり方について仮説導出と提言ができるものと考えている。
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Causes of Carryover |
研究出張と定量調査のための費用として計上したが、コロナ禍の影響で実施ができなかった。文献調査と聞き取り調査については、大学が契約する論文データベースと、個人的なネットワークを使ったため、費用が掛からなかった。2022年度に出張が可能であれば、2021年度の残額と2022年度の交付を合わせて、研究を進める予定である。研究期間の延長を申請する予定である。
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