2023 Fiscal Year Research-status Report
アジア新興国の現地法人におけるマーケティング組織の構築
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19K01936
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
上原 渉 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (30515060)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 海外現地法人 / マーケティング / ブランド / 権限委譲 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、多くの日系企業が東南アジア諸国のリージョナル・ヘッドクォーターを置くシンガポールで調査を行った。日系企業の海外拠点向けにブランド・コンサルティングを行う会社やJETRO等への取材から、以下の3点が明らかになった。 1.コロナ禍を経て、一部の企業では現地への権限移譲が進んだ例もあったが、大半の企業は、コロナ前の状況に戻りつつあること、2.東南アジアの海外拠点におけるマーケティング機能の整備は、いまだ不十分であること、3.その結果として、現地市場におけるブランド構築が進まないこと。 これらの知見から、本研究のテーマである、新興国におけるマーケティング組織・機能の整備が進まない原因は、当初仮説であった進出時の意図(生産拠点としての進出)とは無関係に、マーケティング機能への理解不足が原因である可能性が示唆された。なお、ここでいう理解不足とは、営業機能との分離ができていないことと、一時的な販売促進のためのマーケティング活動のみに注力している状況を指している。 残された研究期間で、なぜ多くの日系企業ではマーケティング組織の構築に注力できないのか、という問いを明らかにするために、成功事例の探索と調査を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍を経て、当初計画にあった日系企業の駐在員に対する質問票調査を断念した。またミャンマーの政治体制が不安定であり、多くの日本企業が事業撤退・縮小し、定性調査も含めて難しい状況が続いている。これらの環境変化に対して、リージョナル・ヘッドクォートーがあるシンガポールで調査をスタートし、コロナ後の現状理解を進めている。 調査方法を変更したものの、一定の結果が得られるよう、引き続き調査・研究を続行する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度として、これまで得られた結果のロバストネスを高めるために、新たな調査対象者への調査を継続する。それと並行して、学会発表や論文執筆を通して、調査内容の公表を行う。
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Causes of Carryover |
定量調査のための事務委託費として「その他」の費目の予算を確保していたものの、コロナ禍で調査対象予定者が帰国する例が多数発生し、定量調査の実施を断念したことで、次年度使用額が生じた。 2024年度は、これまでの調査結果のロバストネスを高めるために、定性調査を継続する。
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