2022 Fiscal Year Research-status Report
A Study on Building Brand Trust Through Visual Communication
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19K01943
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
外川 拓 上智大学, 経済学部, 准教授 (10636848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 裕明 青山学院大学, 経営学部, 准教授 (50548716)
朴 宰佑 中央大学, 商学部, 教授 (50401675)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 視覚的コミュニケーション / 広告画像 / 広告デザイン / 製品知覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、本研究課題で得られた成果の発信に取り組んだ。特に、これまで進めてきた「広告写真の視覚的特性が広告製品の知覚に及ぼす影響」について、成果をまとめ、論文として発表した。前年度、複数回に及ぶ実験を行ったところ、広告の背景画像から連想される温度知覚(例えば、冷たさ)が、広告製品に対する心理的距離感や曖昧性の知覚を高め、結果的に新しさの知覚をもたらすことが分かった。また、この「視覚―温度感」の連想は、遠い将来の製品購買を想定しているとき、製品評価を高めることも確認された。これらの結果をまとめ、前年度(2022年1月)に国際学術誌『Journal of Business Research』(査読付き)に論文を投稿した。年度明けの4月からは、この論文の査読対応を進め、追加的な文献レビューおよび実験を行った。具体的には、理論的基盤として解釈レベル理論に関する文献をレビューしたほか、2つの追加実験を行い、理論的背景と実験設計の整合性を改善した。その結果、2023年2月に、同論文の採択が決定された。加えて、学界のみならず、社会一般に広く成果を還元するため、大学のプレスリリースにて研究知見を公表する準備も進めている。 一方、本研究課題では、これまで広告上の写真の効果に注目し、研究を進めてきたが、本年度は、視覚的コミュニケーションのツールとしてブランド・ロゴの効果についても研究に取り組んだ。すでに文献レビューと複数の実験を完了しており、2023年度中に海外学会(例えば、Association for Consumer Research、Society for Consumer Psychologyなど)での発表を行えるよう、準備を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度の計画は、これまでの研究を継続するとともに、その成果を発信することに主眼が置かれた。 上記の計画を踏まえ、広告写真から連想される温度知覚が広告製品の知覚に及ぼす影響について実験を行い、論文を国際学術誌『Journal of Business Research』(査読付き)に投稿した。2022年度は、その査読対応を行うため、理論的基盤の見直しを行うとともに、査読チームから求められた追加実験の実施を行い、分析モデルや実験設計の改善を図った。追加実験を踏まえ、論文の再投稿を行った結果、2023年2月に同誌に採択された。本研究の成果を、学術研究者のみならず社会一般に広く還元するため、論文の概要を大学からプレスリリースとして発信することを計画している。 一方、視覚的コミュニケーションの手段として、これまでは広告写真に注目してきたが、現在、他のツールであるブランド・ロゴの役割についても注目している。すでに関連文献のレビュー、および複数の基礎的な実験は完了した。実験結果に関して、2023年度中に海外での主要学会で発表を行うため、現在応募準備を進めている。 COVID-19の影響で、延長期間に入っているものの、上記の進捗と成果は、本研究課題の当初目標を満たすものであることから、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、2度目の延長期間となるため、引き続き、成果のまとめと発信を行っていく予定である。具体的には、ロゴ・デザインの研究について追加的な実験を行い、ロゴの視覚的特性がブランドの知覚および評価にいかなる影響を及ぼすのか、という点について明らかにしていく。また、必要に応じて、文献レビューを行い、実験の基盤となる理論的背景についても強化していく予定である。 得られた結果は、2023年度中に海外の関連主要学会(例えば、Association for Consumer Research、Society for Consumer Psychologyなど)において発表することを計画している。発表時に得られたフィードバックをもとに、論文化を進めていく予定である。 なお、本計画を執筆している2023年4月時点では、新型コロナウイルスの感染拡大が本研究課題の進捗に影響を及ぼすリスクは低いと考えられる。しかしながら、万一、再度の感染拡大やその他の理由により本研究の課題遂行が困難になった場合は、優先順位が高い計画を取捨選択したり、他の実験方法を代用したりするなどして、進捗の遅延が最小限になるように工夫する。
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Causes of Carryover |
本年度は広告写真に関する研究成果を論文として出版することを計画していた。通常、論文の出版過程においては、査読者から追加実験や追加データの収集などを求められることが一般的であるため、本年度はそれらの支出を行うことを想定していた。しかしながら、要求された追加実験が想定よりも少なかったため、助成金に余剰額が生じた。この余剰額については次年度使用額として、実験や成果発信のために使用する。具体的には、現在進めているロゴ・デザインに関する研究を論文化するため、追加的な実験を行ったり、学会発表、論文執筆を行ったりするための費用として支出する予定である。
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Research Products
(19 results)