2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of external stimuli effect on transient state of consumers' purchase process
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19K01945
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
生田目 崇 中央大学, 理工学部, 教授 (10318222)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マーケティング / 消費者行動 / モデル分析 / 過渡状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度においては,消費者の購買行動並びに情報収集・発信に関する実データを用いた分析を行った.特に,1) 購買決定に関係する諸変数の影響の評価手法の提案と実データの解析,2) ファッションブランドを対象とした消費者知覚マップの評価並びに当該ブランドに関する消費者情報拡散に関するモデリングを行った.また,関連する研究として3)ディープラーニング手法の消費者行動理解のための諸分析を行った. 1)の研究成果として,リピート購買につながる初回購買のルールの抽出,相互総客を目的とした探索・購買行動の特徴抽出などを行うことができた.2)の成果としては,消費者の個人族税別の知覚マップを比較することにより,ブランドの変遷についての知見を得ることができたこととともに,SNSにおけるブランド関連発言の伝播のパタンについてネットワーク構造との比較を通した情報拡散過程の一端を明らかにした.3)については,探索・ニーズなどからの選択行動に関するモデリングを行い,既存手法との比較からディープラーニングの適用可能性について論じることができた.反面,モデルの複雑化による汎化能力の低下などの問題点も把握できたため,今後の分析においての注意すべき点としての治験を得ている.これらから,購買の前段階の探索行動並びに購買後の商品評価の構造並びにC2Cの情報伝播などについての評価をある程度行うことができた. これらの成果については,複数の論文として刊行した他,国際会議での研究報告,国内学会での発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度においては,実データをもとにした多面的な購買を中心としたその過渡課程のの評価を行い,複数の注目すべき知見を明らかにすることができた.特に複数の商品カテゴリや購買状況について,様々な分析をすることができ,それぞれにおいて特有の消費者行動や影響変数を評価できたことは消費者行動研究における重要な成果ということができる. また,購買だけでなく,近年広く行われているブログやSNSにおける消費者自身による商品評価や比較分析などの情報を用いた情報拡散とその効果について分析できたことは,消費者の情報検索,収集,選択行動においての新たな知見を得られたものと考えられる. 一方で,商品カテゴリやチャネルの違いといった情報収集・選択行動の違いによる過渡状態の変化については並行した見方はまだできていない.これらは,2年目以降の分析の方向として考えている. 以上より「おおむね順調に進展」していると評価している.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度以降は昨年度はできなかった,別の新たなデータによる分析により,対象とする購買状況や情報検索過程を広げる一方で,クロスセクショナルな購買行動の比較をすることを目標としている.購買履歴だけではなぜその行動をしたのか,といった外面的及び内面的理由が明らかでないため,アンケート調査データやインタビュー,観察といった購買に至るプロセスに関する諸データを収集することを考えている. 特に,様々なリソースによる横断的な研究においては,データフュージョン手法などの方法で,シングルソースに頼らないクロスセクション分析ができるようなフレームワークを用いることで,本来は別人のデータから共通の影響要因を抽出することを考えている. ただし,今年度はコロナウィルスの影響による産学連携のスピードの低下,学会開催が中止されるなど,研究推進においてブレーキとなりうる状況も予測されることから,昨年度の研究の範囲でまだ論文化できていないものを先に論文化する,データをオンラインで収集などデータ収集方法について工夫するなど,コロナウィルスによる諸影響を可能な限り回避しながら,効率的・効果的に研究を進めることを計画している. また,コロナウィルスの影響による外出自粛や行動変容は購買・消費行動そのもの,また消費マインドに大きな影響を与えていることは容易に予想されるため,こうした変化についてもできる限り考察をしていきたいと考えている.
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Causes of Carryover |
本年度は分析が進んだことから,計算機環境の整備は後回しにし,得られた成果報告をできる限り先んじて行った.計算機支出を次年度に回し,成果報告や分析のための人件費を先に支出している.これらの差額総額が本年度の差額に相当する.これらについては,今年度において計画的に利用する予定である.
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