2019 Fiscal Year Research-status Report
カスタマイゼーション・システムの実証研究を通じた 共創活動のメカニズム解明
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19K01946
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
遠藤 誠二 東海大学, 政治経済学部, 教授 (90609413)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カスタマイゼーション / コークリエーション / エコシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、主に日本企業のカスタマイゼーション戦略に関する情報の収集(文献収集及び企業調査)をおこなった。具体的な成果は以下の3点である: 1)文献レヴュー:20年間のカスタマイゼーション分野の進化にともない、近年さらにカスタマイゼーション研究が拡大していることが明らかになった。具体的には、カスタマイゼーション分野に関する企業のケース・スタディ、消費者行動、テクノロジー、データ分析などさまざまな分野で研究が進んでいることがわかった。 2)企業調査:カスタマイゼーション研究が拡大しているなかで、多くの企業は顧客との共創を通じたカスタマイゼーションに関心を示していた。日本企業のカスタマイゼーション戦略に関する調査では、酒造産業、ファッション産業、漆産業を中心に調査が行われた。また、調査地域としては、東北、上越、近畿、首都圏で中心に調査を行った。その結果、多くの企業は、自社の顧客と丁寧な対話を通じて共創することで、カスタマイズ製品を開発・提供していることがわかった。特に、アパレル製品を製造・販売する企業では、顧客との共創を通じてカスタマイズ製品のカテゴリーを拡張させながら積極的なカスタマイゼーション戦略を目指していた。 3)カスタマイゼーションの特性:これまでの日本企業に比べ、カスタマイゼーション戦略を進める上で重要なテクノロジーやシステムに関する導入が見られた。特に、販売活動において、スマートフォンとQRコードを利用してシンプルなカスタマイズ製品の注文システムを開発していた。また、顧客との共創を通じてサプライチェーンを進化させ迅速にカスタマイズ製品を顧客に直接提供するシステムを構築していた。そのシステムは、長期的な顧客との共創をさらに推進させるものであった。同時に、顧客との関係性をさらに深めることで柔軟にカスタマイズ製品の可能性を模索する企業も存在した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度前半の調査は、カスタマイゼーションに関する文献収集や企業へのインタヴューを行うことで多くのデーターを入手することができおおむね順調に進んでいた。一方で、令和元年度の後半では、予定していた多くの企業とのインタヴューがCovid-19の影響で中止となってしまった。さらに、今回のインタヴュー・データをまとめ2020年11月にデンマークで開催される学会(MCPC2020)で発表予定であったが、学会が2021年度に延期となってしまった。このような状況で、今後の調査の予定が立てられないのが現状である。しかし、今後の状況を慎重に判断しつつ調査の再開を進める予定である。その間に、これまで収集してきた文献情報やインタヴュー・データを分析し、論文の作成、さらに学会発表の準備を進めてゆく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は、日本国の伝統工藝産業(漆塗や酒造など)、ファッション産業(アパレルやアクセサリーなど)を中心に調査してきた。しかし、Covid-19の影響で準備していた1月からのインタヴューを行うことが困難になりデータが全く収集できていなのが現状である。さらに、この状況でアメリカ合衆国やスペイン、イタリア、デンマークを中心とした欧州での企業への調査や学会発表も難しい状況のなかで、令和2年度以降は令和元年度にできなかった文献情報の収集・分析を行いつつ、企業(精密機械や海洋調査など)への調査の再開準備を進めていく予定である。さらに、その調査結果を基にカスタマイズ製品及び企業のカスタマイゼーション戦略の特性を分析し、今後の日本企業のカスタマイゼーションの可能性について考察していく予定である。さらに、以上の調査をもとに、随時、研究成果を論文と学会発表という形で報告する予定である。
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Causes of Carryover |
令和元年度前半の調査は、カスタマイゼーションに関する文献収集や企業へのインタヴューを行うことで多くのデーターを入手することができおおむね順調であったことから、さらに調査対象企業と調査対象地域を拡大するために、研究費の前倒しを行った。しかし、Covid-19の影響でほとんどの調査が中止となってしまった。さらに、今回のインタヴュー・データをまとめ2020年11月にデンマークで開催される学会(MCPC2020)で発表予定であったが、学会が2021年度に延期となってしまった。このような状況で、令和元年度の研究費が未使用となってしまった。
そこで、令和2年度以降は令和元年度にできなかった文献情報の収集・分析を行いつつ、企業(精密機械や海洋調査など)への調査の再開を進めていく予定である。さらにその調査結果を基に、カスタマイズ製品及びカスタマイゼーション戦略の特性を分析し、Covid-19後の日本企業のカスタマイゼーションの可能性について考察していく予定である。さらに、以上の調査をもとに、随時、研究成果を論文と学会発表という形で報告する予定である。
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