2019 Fiscal Year Research-status Report
企業成果をドライブする現場従業員のクリエイティビティの再定位
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19K01949
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
藤井 誠 神奈川大学, 経済学部, 准教授 (50779725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 隆教 広島経済大学, メディアビジネス学部, 助教 (90825936)
松田 温郎 山口大学, 経済学部, 准教授 (60632693)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | クリエイティビティ / サービス・マーケティング / 現場従業員 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,サービス組織の現場従業員におけるクリエイティビティをサービスに関するクリエイティビティと組織に関するクリエイティビティの2つに弁別することで,クリエイティビティとその規定因,成果との関係を概念化し,実証研究を通じて新たなモデルを提示することを目指している。AIやロボットなどの技術の発展による雇用の代替性が危惧される中,クリエイティビティに着目することは,現場従業員の実践的な役割を見直すことに繋がると期待される。 研究初年度となる2019年度は,2020年度に実施する予定であるアンケート調査のモデルを精緻化すべく,現場従業員のクリエイティビティの先行要因に関する文献の収集・レビューを中心に行った。並行して,2020年度に実施予定のアンケート調査の対象としてヘアサロン業界を検討していることから,ヘアサロン業界に関する図書を購入することで,業界の理解に努めた。 今年度の研究成果としては,セールスパーソンを企業と顧客の境界で活動する現場従業員と位置づけ,セールスパーソンの仕事の自律性がクリエイティビティにどのような影響を与えるのかについて論文にまとめている。また,付随する研究成果として,顧客接点において独自の取り組みを行っている地域商業者へのヒアリングを実施したことにより,商業者の優れた品揃え形成実践活動を見出すことができた。それらの発見事項について,学会報告を行い,論文にまとめることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では,2019年度は現場従業員のクリエイティビティを2つに弁別することの意義を主張すべく,組織行動論において議論されてきた先行要因との関係を再考するため,文献の収集・レビューを行うことであった。 しかし,文献の収集・レビューを行う過程で,サービス組織の現場従業員の先行要因(内発的/外発的モチベーション)とクリエイティビティの関係について議論している研究が限られ,しかもそれらの先行研究では概ね先行要因はクリエイティビティに正の影響を与えていた。そのため,先行研究間で一致した見解が見られないのは,クリエイティビティを単一次元の概念と捉えてきたためであり,サービスに関するクリエイティビティ,組織に関するクリエイティビティの2つに弁別することで整合的な説明ができるという主張を導くことが困難と判断され,論文としてまとめるまでに至らなかった。 その代わり,当初の計画では2020年度以降に予定されていた,サービスに関するクリエイティビティ,組織に関するクリエイティビティに関する統合モデルを構築すべく,生産性や顧客満足に関する文献の収集・レビューを前倒しで進めることにした。アンケート調査を実施するために活用する尺度の選定は概ね完了しており,質問項目の翻訳やバックトランスレーションも順次進めていることから,研究計画全体の深刻な遅れは生じていないと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,2019年度に行ってきた文献レビューに基づき,サービスに関するクリエイティビティ,組織に関するクリエイティビティに関する統合モデルについてのアンケート調査の実施・分析を行う予定である。ただし,昨今のコロナウイルスの流行により,アンケート調査の対象となる従業員と顧客双方のデータを収集する困難度が当初の想定以上に高まってくることが予想される。そのため,アンケート調査の実施時期については,2020年度後半に行うか,最終年度に繰り越すなど,状況を注視しつつ遂行する。
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Causes of Carryover |
分析用のソフトウェアについて,教育版で安価に入手できたことから,当初よりも使用金額が少なく抑えることができた。次年度に予定されているアンケート調査実施の際に上乗せして使用する予定である。
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Research Products
(9 results)