2020 Fiscal Year Research-status Report
Verification based on international comparison of air transportation industry logistics power estimation method by sea-air modal shift structural change analysis
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19K01952
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
宮下 國生 関西外国語大学, 外国語学部, 教授 (60030714)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ロジスティクス競争力 / サプライチェーン / 直接投資 / 期待運賃 / トータルコスト / ビジネスモデル / 競争力評価 / グローバル市場 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、グローバル輸出ロジスティクス市場における海空モーダルシフトの構造変化を踏まえて、日本・米国・EU主要3輸出拠点における海空需要代替行動に基づいて構築した主要国・地域の空運業ロジスティクス力推定モデルの実証結果を相互検証して、政策立案に即応性のある競争力評価方法を確立することであり、今年度は米国とEUを輸出拠点とする分析に注力する。 ここで構築される代替行動モデルでは、伝統的物流要因であるトータルコストに加えて、サプライチェーンを支える直接投資と革新的ビジネスモデルの態様を規定する運賃期待より成るロジスティクス要因によって構成されるが、後者の要因こそが各国・地域のロジスティクス競争力を左右する。伝統的物流要因が各国・地域に共通な市場要因であるのに対し、ロジスティクス要因は、直接投資が各国・地域の行動環境を、一方運賃期待が彼ら独自のロジスティクス・ビジネスモデルを決定しうる差別化要因であるからである。 直接投資と運賃期待を2軸とする米国とEUを各輸出拠点とする分析結果はいずれも上記分析モデルの汎用性を支持していた。米国拠点の11か国・地域分析結果の特徴は、各国・地域の海空代替行動がトリガーとなって各国地域の多様な直接投資行動を喚起する仕組が明確に読み取れる一方で、EU拠点の分析結果は、各国・地域の経済力を反映する直接投資行動の作用が極力抑えられ開発途上国にやさしい環境を強く反映していた。またロジスティクス・ビジネスモデル構築に関わる期待運賃は、米国拠点では先進6か国・地域においてのみ高度・差別化モデル構築が可能なように機能するのに対し、EU拠点モデルでは経済発展レベルに応ずる差はない。 以上の2拠点におけるロジスティクス競争力の発出過程には対照的な分析結果がみられるものの、各国・地域の競争力の評価結果には整合性があり、分析モデルの汎用性は高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
日、米及びEUを輸出拠点として行動する主要11か国・地域の空運業ロジスティクス競争力モデルの推定結果は、高い説明力を持っているので、この競争力測定方法がグローバル市場で広く応用できることが明らかになっており、したがって研究目標の少なくとも80%レベルが達成できているとみられる。
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Strategy for Future Research Activity |
各拠点の競争力決定メカニズムを比較検証して、その拠点の重視するロジスティクス・ビジネスモデルの特徴を明確にする。決定モデルは類似していても、なぜ拠点地域ごとに主要決定因(直接投資と期待運賃)の機能に差があるのか、それは拠点国のロジスティクス政策のあり方に差があるからではないか、など分析結果の政策的インプリケーションを捉えたうえで、グローバル社会・経済が今後目指すべき政策目標の在り方を究明する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の下で、研究のための出張旅費の消化が進まなかったことに加えて、海外発注図書の到着が遅延したためである。今年度は図書の発注も含め、支出を前倒しで進めたい。
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