2020 Fiscal Year Research-status Report
Empirical Analysis of the Impact of Really New Products on Market Emergence
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19K01953
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
西本 章宏 関西学院大学, 商学部, 准教授 (10613185)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 市場創造 / 革新的新製品 / COVID-19 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、新たな市場を創造する可能性を秘めている革新的新製品がどのように消費者に受容されるのかを検証することで、消費者行動研究の視点から、市場が創造されるメカニズムを明らかにすることである。 令和2年度は、新しい環境に人が適応していく際の認知的性向として、昨今の消費者行動研究において注目されている認知欲求の一種である消費者の認知的構造化欲求についてレビューを行い、実証分析を実施した。分析の結果、認知的構造化欲求が高い消費者ほど、環境適応に対して柔軟性を欠いていることが明らかになった。また、実証分析では認知的構造化欲求の程度と革新的新製品の受容の関係性を明らかにすることに加えて、COVID-19のアウトブレイクという急激な環境変化をも分析対象とした。新しい環境に人が適応していく消費者特性として、リードユーザーと創発的消費者という2つの先端層セグメントに注目した調査を行った。分析の結果、リードユーザーも創発的消費者も一般ユーザーと比較して急激な環境変化に適応していることが明らかとなった。また、先端層セグメントと認知的構造化欲求の関係性については、特徴的な関係性はなく、別次元の特性であることが明らかになった。加えて、急激な環境変化におけるソーシャルメディアの利用に注目することで、リードユーザーと創発的消費者を識別することができた。領域特定的な先端層であるリードユーザーに対して、COVID-19のアウトブレイクのような領域不特定的なマクロ環境の変化に対しては、創発的消費者の方が、次世代のイノベーションの源泉として注目することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り研究活動が遂行されている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、引き続きコロナ禍が続き大きな環境変化の過渡期にあることから、当初の研究計画から方向性を微修正し、急激な環境変化が消費者の製品カテゴリー知識に及ぼす影響について検討する。デジタルトランスフォーメーションがさまざまな市場で普及する現下において、消費者の製品カテゴリー知識がどのように変化しているのかを明らかにすることで、今後の新市場の創造可能性を明らかにする。 実証方法は、消費者の製品カテゴリー知識を広く収集する必要があることから、インターネット上のナレッジコミュニティに保存されているビッグデータや新聞・雑誌等のテキストデータを入手し、大規模データ解析によって検証を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により出張が大幅に減少したため、当初予定していた旅費支出がなくなった。引き続き、新型コロナウイルス感染拡大による移動の制限が想定されるが、大きなマクロ環境の変化における消費者調査の必要性が考えられるため、旅費を調査費に充当し、大規模な消費者調査を追加実施する意向である。
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