2020 Fiscal Year Research-status Report
A Study on Systematization of Factors for Productivity Improvement of Trucking Companies
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19K01959
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
黒川 久幸 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (50282885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 聖 城西大学, 経営学部, 教授 (00760604)
土井 義夫 朝日大学, 経営学部, 教授 (80434497)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 生産性 / トラック運送 / 物流 / 連携 / 協働 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちの生活や企業活動を支える物流を担うトラック運送業の生産性向上を図るために、取り組むべき施策を明らかにすることを本研究の目的としている。 本年度は、昨年度の研究成果を踏まえて設問項目を検討し、トラック運送業者に対して、(1)荷主等との連携を対象とした企業間アンケートと(2)現場管理者を対象とした企業内アンケートの2種類のアンケートを実施した。 まず、企業間アンケートからトラック運送業における企業間連携が生産性向上に与える影響について検討を行った。その結果、荷主からの直接委託と物流事業者からの再委託といった委託形態によって、生産性に影響を与える要因が同一の場合と異なる場合があることがわかった。例えば、「運賃交渉の実施」により、生産性(実車率・距離)が向上するか分析した結果から、荷主との直接の接点のない再委託の場合には明確な有意な影響はみられないなど、委託形態によって生産性(実車率・距離)に与える要因が異なることが確認できた。これより、委託形態の違いを考慮することにより、より有効な施策の検討が可能となることがわかった。 次に、企業内アンケートからトラック運送業者内部の生産性に与える要因について、アンケート調査をもとに考察を行った。その結果、「配車担当者の他社との良好なネットワーク構築」などの設問は、全ての生産性指標と有意な結果となった。一方、物流現場の運用に関する設問では、実働率と実車率(時間)との相関は見られたが、積載率とはほとんど相関はみられなかった。これらの結果から、現場管理者の特性と生産性との関係性は、生産性の指標により傾向が異なることが明らかとなった。また、今回のアンケートの個々の設問と生産性の間に関係性は見られなかった設問分類についても、間接的に生産性に寄与する可能性があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に実施したトラック運送業者に対するヒアリングから得られた情報をもとに、(1)荷主等との連携を対象とした企業間アンケートと(2)現場管理者を対象とした企業内アンケートの2種類のアンケートの設問項目を設計した。 そして、物流業界専門のWebサイトを通じて予備調査を実施しした後、回答結果を踏まえて設問項目を修正した後、本番のWebアンケートによる本調査を実施した。 このWebアンケートの回収は、当初予定したよりも回答数が少なかったものの生産性に対し有意な要因について検討を予定通り実施できた。これにより、順調に研究は進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
アンケートの方法として、Webアンケートの回収が良くないことが分かった。そこで、アンケートの設問項目と生産性との関係をさらに詳細に分析するために、追加で郵送による紙のアンケートを実施する。 そして、このアンケート結果も含めて生産性に対し有意な要因を検討すると共に、各要因間の因果関係の分析を行い、トラック運送業者が生産性向上のために主体的に取り組むべき施策を検討する。なお、財務データについては、非常に多くの誤入力が散見されたことから分析で用いないこととした。 また、最終年度は研究成果を広く社会に発信するために、シンポジウムなどを通じた研究成果の発信を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染防止のために、トラック運送業者へのヒアリングや学会発表等のための交通費を使用しなかった。これが予算を使用しなかった主な理由である。 その一方で、トラック運送業者は、小規模零細な業者が多く、Webアンケートよりも郵送による紙のアンケートが有効であることが分かった。そのため、さらに詳細な検討を行うためには追加で郵送によるアンケートを次年度に実施する必要があり、追加の予算を確保する必要があった。 そこで使用しなかった予算を次年度に追加で実施する郵送による紙のアンケートのための費用に充てることとする。
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Research Products
(6 results)