2021 Fiscal Year Research-status Report
移動中に行う活動の時代変遷と活動可能な環境に対する支払い意思
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19K01962
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
三古 展弘 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (00403220)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 消費者行動 / 交通行動 / 移動中の活動 / 通勤・通学 / 移動環境 / 支払い意思額 |
Outline of Annual Research Achievements |
社会生活基本調査の調査票Bの4時点(2001年,2006年,2011年,2016年)のデータを用いることで,人が移動中に行った活動がどのように変化してきたかについての基礎集計を行い,統計分析を開始した. 近年の交通に関する技術革新で注目されている自動運転に関する分析も行った.完全自動運転車が実用化された場合,移動中に運転をする必要がなくなるため,移動中の活動に大きな変化が起こると考える.しかし,運転操作を全面的に自動運転システムに委ねることには,それが生命に関わることだけに社会的な合意が得られているとは言い難い.そこで,自動運転,タクシー,自身の運転の3者間の3通りの一対比較を行い,それらの間の安全性・早着性・利用意向の比較を行い,安全性と利用意向に正の相関が認められた.また,自動運転の受容性は今回検討した自動化技術の中では無人コンビニの受容性と相関が高いことを示した. 交通は多くの場合,目的地での仕事や勉強といった本源的需要からの派生需要である.しかし,コロナ禍ではテレワークやオンライン講義が実施されることで目的地での活動自体がなくなり,派生需要が消滅し交通事業者の経営悪化に繋がった.一方,交通事業者は駅等の施設を保有しており,それらを仕事や勉強が可能な場所(シェアオフィス等)として提供することもできる.そこで,近年議論が盛んになっている,MaaS (Mobility as a Service)の定額制サービスとして,移動と活動可能場所の提供をともに含んだ仮想的な拡張MaaSパッケージを提示したSP調査を行い,選択モデルを推定した.また,拡張MaaSアプリの具備すべき要件についても整理した. また,神戸大学生を対象に,コロナ禍で通学目的の移動頻度が減少した時期の居住地に関する調査を実施し,通学頻度と移動時間に関する分析を開始した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響により,研究計画の変更を余儀なくされたため.
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 社会生活基本調査データを用い,移動中に行う他の活動の時代変遷(過去15年)について統計的な分析を継続して行う. (2) コロナ禍で勤務場所がどのように変化したか,またそれに伴って移動中の活動がどのように変化したか,について独自調査を行うとともに統計的な分析を行う. (3) コロナ禍でのオンライン講義等の普及によって生じた大学生の居住地の変化に関する調査を行っている.居住地の変化は移動時間の変化にも直結する.基礎分析を開始しており,引き続き分析を行う. (4) 歴史的資料の収集を継続して行い,長期間における移動中の活動を分析する.
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Causes of Carryover |
2020年度と同様に2021年度も新型コロナウイルスの影響により,予定していた国内出張・外国出張を1回も行うことができなかったため次年度使用額が生じた. 2021年度は実施することができなかったが,アンケート調査をウェブ調査会社に委託することと,それに関連してアルバイト学生の雇用にも助成金を使用する.
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Research Products
(2 results)