2020 Fiscal Year Research-status Report
ニューロ解析による友人レコメンドの影響因子特定とメカニズム応用
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19K01964
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Research Institution | Edogawa University |
Principal Investigator |
中口 哲治 江戸川大学, 社会学部, 教授 (50592705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 英土 江戸川大学, 社会学部, 教授 (40327242)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 価値観共有 / 暗黙知 / 潜在認知 / ニューロマーケティング / 認知心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年のファッション業界において、企業やブランド内で注目されているのが、インフルエンサーらの発信するSNS画像(インスタグラム)である。これらの画像を友人同士で見る、評価し合うことで、言語や暗黙知に変換され共通了解・価値観共有へと昇華、結果として選好・選択行動(商品購入、サービス授受、イベント参加)に繋がっている。本研究では、企業やブランド、インフルエンサーらが発信する画像が、一人ではなく友人間でどのように共有・推奨(レコメンド)され、 選好・選択行動(商品購入、サービス授受、イベント参加)へと結びついていくのかを、視線の偏りと脳血流の関係性という客観評価を伴うニューロ解析手法を使って解明していく。 本研究は、平成25年度より科研費助成事業の補助を受けて研究した前研究=[感覚的表現による価値観共有構造の解明とモデル開発]の続編という立場をとる。インタビューやアンケート等の主観評価を主軸とした前研究では解明することができなかった「友人などの第三者の介在による画像情報と共感、推奨 (レコメンド)の関係性」を客観性が伴う、脳科学や心理学的な実験アプローチによって明らかにするものである。
2020年3月、新型コロナ感染抑止に伴う自粛要請によって、初年度計画していた「友人間推奨(レコメンド)画像確保を狙いとする女子学生、読者モデルらへのインタビュー」を断念。その研究項目に関しては、計画2年度目に対面ではなく、Webに置き換えて実施した。一方で、研究の背景となる構造因子特定化に向けて、新たに女子大生向けのインターネット調査(ローデータ収集)を追加で行なった。計画2年度目の後半は、脳科学実験の本格実施に向けて、関連する学術論文の収集、実験機器の選別や最適な実験手法の精査とオーサリングに注力するという流れで研究を推進している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は前研究=[感覚的表現による価値観共有構造の解明とモデル開発]の続編という立場を取っているのは概要でも述べた通りである。進捗状況であるが、計画初年度に予定していた、書籍及び学術論文含めた文献調査は、順調かつ適切に進行している。また、実験用レンタル機器の選別に有効な数社の見積もりを、価格と性能、機器の運用という3つの視点から検証した結果、最も価格合理性の高い2社に絞り込んだ。 一方、昨年度から持ち越しとなった「友人間推奨(レコメンド)画像確保に向けた、女子学生、読者モデルらへのインタビュー」を2020年9月から12月にかけて実施する予定であったが、同期間に緊急事態宣言が発令されたため、会場でのインタビューを断念。webインタビューに変更して、実験用SNS画像(マスター)に関する聞き取り調査を行った。さらに同タイミングで、1200人強の女子大生にインターネット調査を実施し、構造因子特定化に向けたローデータの収集を行い、その有効性に関して様々な角度から精査している。また、今年度の中核的研究項目である「対象被験者を時間差で集めて行う脳科学系実験(NIRS-アイトラッカー活用)」を2021年1月から3月に行う予定であったが、同期間に緊急事態宣言が発令されたため手付かずの状態となった。これらの状況を総合的に勘案し、「進捗状況→(4)遅れている」と報告する。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、女子学生、読者モデルらへのWebインタビューで収集した意見を基に、実験用SNS画像(マスター)の特定化を図る。次に、実験用レンタル機器の発注を済ませ、女子学生30人、業界インフルエンサー30人のキャスティング及び実験場所の確保とスケジュールを確定させる。 それらの体制が整った上で、昨年度の研究項目=対象被験者を時間差で集め、「実験用SNS画像(マスター)を本人と友人が見たときに起こる視線の偏りと脳血流がレコメンド前後でどのように変化しているか」をNIRS・アイトラッカーの組み合わせによる脳科学系実験を行って客観データを収集。主題となっている「友人レコメンドの影響因子特定化」に向けて、様々な分析を行なっていく予定である。
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Causes of Carryover |
計画初年度の研究項目である、「友人間推奨(レコメンド)実験用SNS画像(マスター)確保に向けた、女子学生、読者モデルらへのインタビュー」並びに計画2年度の研究項目「SNS画像を本人と友人が見たときに起こる視線の偏りと脳血流がレコメンド前後で変化するかをNIRS・アイトラッカーの組み合わせによって解析する脳科学系実験」が実施出来なかった。計画年度の実支出額の項目に本件に係る人件費・謝金、実験機器のリース・レンタル料の殆どが含まれていないため、240万円強の差額が発生している。計画3年度目では、計画初年度の追加インタビューと計画2年度の脳科学実験を実施して、差額を使用する予定である。これらの経費を活用することで、「友人レコメンドの影響因子特定化」という主題解明に向けて、様々な角度から解析を行なっていく。
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