2020 Fiscal Year Research-status Report
百貨店のダイナミズム―グローバリゼーションとデジタライゼーションの視点から―
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19K01973
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
藤岡 里圭 関西大学, 商学部, 教授 (00326480)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 百貨店 / デジタライゼーション / プラットフォームビジネス / 国際化 / グローバリゼーション / 小売業態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本に百貨店が誕生してから現在に至るまで、百貨店の経済的および社会的役割がどのように変化してきたかを歴史実証的に分析することである。2020年度は、戦前の百貨店がいかにアメリカの百貨店から販売技術を移転してきたのか、また、1970年代および80年代に日本の百貨店が東南アジアへ進出した際の形態が、欧米の百貨店とどのように異なっていたのかについて、アメリカでの資料調査に基づき研究する予定であった。 しかしながら、新型コロナウイルス感染症が拡大し、当初の計画通りに研究を遂行することが困難となったため、2019年度に行った日本の百貨店経営に関する文献研究をさらに進め、グローバリゼーションとデジタライゼーションが百貨店の戦略にどのような影響を与えたのかについて検討した。つまり、当初2020年度と2021年度に行う予定であった研究の基礎部分ー先行研究の整理とこれまでに収集した資料およびデータの分析ーを行った。 このような研究の成果は、小売業態の発展とその過程における百貨店のポジショニングの変化およびグローバリゼーションに伴う百貨店業態の変容について、オックスフォード大学のジョナサン・レイノルズ教授が行っている小売業のデジタル化研究の成果の一部と統合し、小売業の発展を歴史的な観点から考察する共同論文として執筆中であり、2021年3月5日にオンラインで行われた産業のダイナミズムに関するワークショップで報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた2020年度の計画は、2019年度に実施した文献研究の成果を国際学会で報告することとアメリカで資料調査を実施することであったが、いずれも新型コロナウイルス感染症が拡大したために断念せざるをえなかった。また前回提出した修正研究計画では、当初2021年度に実施する予定であった日本企業における資料調査を前倒しして2020年度に行う予定としていたが、1年前の計画策定時に比べて新型コロナウイルス感染症がさらに拡大したことにより、大学内の活動基準に従って、府県をまたぐ出張を自粛したため、調査することができなかった。加えて、当初の計画で資料調査を予定していた一部の企業の業績がコロナ禍で急激に悪化し、資料調査ができない状況となった。 これらの理由から研究計画のさらなる大幅変更を余儀なくされ、2019年度に実施した文献研究を発展させ、二次資料を中心とした研究へとアプローチを変更した。しかしながら、一次資料の収集は歴史実証的なアプローチに不可欠であり、研究全体の進捗状況はやや遅れていると認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は本研究の最終年度となるため、できるだけ早期に資料調査を行いたい。日本企業や業界団体での資料調査に加えて、新型コロナウイルス感染症が収束していれば、当初予定していたイギリスあるいはアメリカでの資料調査を実施したいと考えている。 そのうえで、(1)日本の百貨店が大きく成長する戦前期において、どのように海外の最新動向に触れ、自らの店舗運営やマーケティング戦略に活用していたのかを明らかにし、(2)欧米の百貨店にキャッチアップした日本の百貨店が戦後、どのように競争優位を構築してきたのか、また、なぜ百貨店はデジタライゼーションの進展に伴い、その優位性を失うことになったのかについて、論文にまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度はアメリカでの資料収集および学会発表を予定していた。しかし、新型コロナウイルス感染症が拡大したため、海外はもとより国内出張も困難となり、旅費を中心に未使用額が発生した。 2021年度中に新型コロナウイルス感染症の状況が改善し、国内外の出張が自由に行えるようになれば、当初計画通りイギリスおよびアメリカでの資料収集を実施し、今年度に繰り越した分も含めて支出する。2021年度においても国内外の出張が困難な場合は、データパッケージの購入や海外のデジタル資料の購入等、可能な限り代替し得る資料を購入する。
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Remarks |
国際ワークショップ:Oxford Handbook of Industry Dynamics(2021年) 発表者:Rika Fujioka and Jonathan Reynolds 発表タイトル:Retail industrialization and the evolution of retail business models
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Research Products
(1 results)