2023 Fiscal Year Annual Research Report
An analysis on footnotes of accounting for income taxes
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19K01980
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
米谷 健司 立教大学, 経済学部, 准教授 (90432731)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 税効果会計 / 税負担削減行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、税効果会計の注記情報を分析することにより、当該情報が投資家の立場から有用な情報であるのか否かを明らかにするとともに、当該情報から日本企業のタックス・プランニングの実態を浮き彫りにすることである。日本の税効果会計実務は、1998年に公表された『税効果会計に係る会計基準』とその後に日本公認会計士協会から公表された実務指針をもとに行われてきたが、2014年以降に当該実務指針を企業会計基準委員会(ASBJ)の適用指針等に移管する作業が進められた。これらのASBJによる適用指針等は基本的に従来の実務指針の内容を踏襲しているが、開示方法の見直しが行われている。例えば『「税効果会計に係る会計基準」の一部改正』の10項には「税効果会計基準及び同注解では繰延税金資産の回収可能性に関連する注記事項として、繰延税金資産の発生原因別の主な内訳等が定められているものの、財務諸表利用者から、計上されている繰延税金資産や評価性引当額の内容を十分に理解することが困難であるとの意見が聞かれた」とあり、財務諸表利用者が税効果会計情報に満足していない様子が窺える。本研究では、税効果会計の注記情報について、一時差異、繰越欠損金、評価性引当額などのデータを収集し、財務諸表利用者にとっての税効果会計情報の有用性を検討した。また、税金情報から企業のタックス・プランニングの実態を明らかにするために過去の研究をエージェンシー理論とCSR理論の観点から分類・整理し、「鈴木一水、奥田真也、米谷健司、田村威文、村上裕太郎(編著)『税務会計研究ハンドブック ―EBPMのための理論・実証分析序説―』同文舘出版、2024年」の「第4章 税負担削減行動」(米谷健司・大沼宏・阪智香)としてまとめ、会計と税金の関係に関する情報が企業の税負担削減行動の何を映し出しているのかを識別することの重要性を指摘した。
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