2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K01981
|
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
新井 康平 大阪公立大学, 大学院経営学研究科, 准教授 (30550313)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
妹尾 剛好 中央大学, 商学部, 准教授 (60610201)
牧野 功樹 拓殖大学, 商学部, 助教 (20845937)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 会計知識 / 投資評価技法 / 戦略的投資の経済的帰結 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は会計知識に関連した業績を複数,公開できた。
1つ目は,企業の戦略的投資の実体を明らかにし,その背後にどのような知識が基盤として存在するのかを実態調査としてまとめた報告書である。DCFの計算などに用いられる前提についての理解が乏しいなどの状況が明らかとなった。具体的な発見事実は次のとおりである。(発見事実1)投資の過半を占めるのは設備投資であり(52.2%),その次に研究開発費(22.0%)となっており,上場企業の資本的支出の対象が,主に設備投資と研究開発に向けられていること(発見事実2)本調査での回収期間法の採用率が過去の調査でもっとも低く52.2%であったことである。2000 年以降の調査である吉田ほか(2009)が 82.8%,清水・田村(2010)が 91.8%と比較しても,本調査の採用率は 30%以上低下している。ただし,先行研究では原価比較法による評価を質問項目に含めず,直接 PP,ARR,NPV,IRR の採用有無を聞いているため,回答企業は原価比較法による評価を回収期間法として回答している可能性があり,そのことが本研究の調査との差異に繋がっている可能性がある
2つ目は,実際の戦略的投資の経済的帰結について明らかにしたことである。これは,企業の戦略的な行動が財務諸表から統計的に推定可能となり,管理会計の視点からも,それら行動についての理解が深まりつつあることを背景としている。代表的なものとして,コストリーダーシップや差別化といった「ジェネリック戦略」,組織が見えざる資産を有して収益を獲得するための資源である「組織資本」の会計情報からの測定という研究成果を踏まえて,これら投資の成果が中長期的な将来利益にどれだけ影響を与えるのかを実証的に明らかにした.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
会計知識について,実態調査などから日常的なマネジメント・コントロールだけでなく,投資決定プロセスにまで研究対象を拡張したが,それらの研究成果が確認できたことは望ましい結果と言える。コロナで延期していた質問票調査も,最終年度は実行可能と推察される。
|
Strategy for Future Research Activity |
コロナにより延期していた質問票調査を実行することで,製造業全般での,日常的なマネジメントにおける会計知識の役割から投資決定段階での会計知識の役割まで,幅広く網羅的に検証が可能となるだろう。最終年度であるため,研究成果の集約,報告も重要な研究推進方策となる。
|
Causes of Carryover |
コロナの影響を踏まえて質問票調査を2023年度に実施するため。
|
Research Products
(3 results)