2019 Fiscal Year Research-status Report
アジア新興国のグローバル会計基準の受容過程におけるコスト・ベネフィットの実態研究
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19K01986
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小津 稚加子 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (30214167)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 新興国 / 国際会計基準(IFRS) / IFRS以前 / ベトナム / ラオス / カンボジア |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の初年度は、インドシナ諸国におけるIFRS以前の状況に焦点をあてて確認した。 インドシナ諸国では、1988年からはじまったフランス・ラオス二国間援助の成果として、1989年にラオスのためにプラン・コンタブル・ジェネラル第1版が開発された。1990年には第2版が公表され、1992年12月に議会で承認された。カンボジアでは1993年にプラン・コンタブルが公表された。いずれもフランス財務省の協力を得て開発された。 べトナムは、ラオス、カンボジアと異なる発展をたどっている。Bui(2011)によれば、フランスの保護領であった時期も、またポスト・コロニアル期においても、フランスの会計実務のベトナムへの影響は希薄であったと指摘されている 。また現在、ベトナムには標準勘定組織型の会計規則があり、構成上、フランスのプラン・コンタブルの勘定組織表のようにみえる。この点について、Nguyen and Richard (2011)の研究によれば、1970年にTC/CDKT第425号によるソビエト・モデルを採用した結果という指摘もある。 IFRSの導入状況は、IFRS/IFRS for SMEs完全導入国(カンボジア)、IFRS部分導入国(ベトナム)、国際基準のような会計基準導入国(ラオス)であることを文献によって確認したが、実態をさらに調査する必要がある。精査する項目としては、IFRS/IFRS for SMEs完全適用の場合はその範囲(対象企業、理由等)、IFRS部分導入の場合は、適用除外された会計基準の洗い出しと、排除された理由である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は初年度であり、当初計画した事項のうち最小限のことはできた。しかし、予定外だったこともあった。初年度は3月にベトナムへフィールド調査に行く計画をたてていたが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い入国制限が発表されたために、断念せざるを得なかった。よって、直近のIFRS適用状況について深めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度にフィールド調査に行けなかったこと、また新型コロナ収束の見通しが立たないことを踏まえ、2020年度以降の研究計画を見直す。2020年度は次のことを行う。第一に、世界銀行のデータの企業情報の透明性・ガバナンス・係争指数を用いて、アジア・アフリカの新興国のなかでのカンボジアとベトナムを位置付けること、第二に、IFRS適用企業の探索(事例研究)である。
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Causes of Carryover |
当初研究計画では、ベトナムへの渡航を計画していた。しかし、新型コロナウイルス蔓延のため、渡航を断念した。そのため、残額が発生し、次年度繰り越しをした。
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