2020 Fiscal Year Research-status Report
アジア新興国のグローバル会計基準の受容過程におけるコスト・ベネフィットの実態研究
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19K01986
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小津 稚加子 九州大学, 経済学研究院, 教授 (30214167)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 財務諸表 / フィールドワーク / IFRS導入のスケジュール / 資本市場の発展 / 新興国のIFRS / 現地国基準との違い |
Outline of Annual Research Achievements |
アジア諸国におけるIFRS適用という研究目的に照らして、今年度はベトナムに焦点を当てて調査を行った。複眼的な視点で調査を行うため、立場の異なる人々に面会を申し込んだ。研究方法は、質的研究、インタビュー調査である。 ・財務諸表の利用者視点を確認する目的で、ベトナムの国立銀行の融資担当者(企業担当、個人融資担当)とWeb会議を行った。使用言語は英語、ベトナム語(通訳付き)であった。質問項目は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書等、財務諸表のどの項目に最も注目して融資を行うか、なぜその項目に着目するのか、財務諸表以外に重視する質的な要素を聞き取った。さらに、ベトナムの国立銀行におけるIFRSの認知度、ベトナム基準とIFRSの違いをどのように認識しているか、IFRS導入についての意見、ベトナムの資本市場動向全般についての意見を聞いた。 ・並行して、IFRS導入のスケジュールについて基本資料を読んだ。「政府が公表している」当面のスケジュール、これに付随する論点を確認した。 ・そのうえで、政府資料にもとづき、いくつかの論点(IFRSとベトナム基準の差異、公正価値概念が確認できないこと)について、ベトナムの会計担当者と意見交換した。 ・ベトナムの資本市場の現状について、ベトナムの資本市場関係者から現状について説明を受けた。 以上は、調査実施項目であり、引き続き調査中の課題である。到達点としては、「政府が公表している」IFRS導入スケジュールの詳細とそのコストを理解するためには、現状把握が必要であり、会計および資本市場関係者からの現状説明を聞く機会は有効と判断している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルス感染症蔓延のため、調査対象国に入国できなかった。代替的な方法として、Web会議でインタビューを行ったが、協力者を探すのに手間取った。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍でも可能な研究方法の取捨選択を行う予定である。日本で入手可能な資料が限られるので、必要ならば当初の研究内容の修正または視点を変更することも視野に入れる。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症蔓延のため、調査対象国への入国ができなかったため。次年度の計画は次の通りである。①ベトナムの法令等の翻訳(英語または日本語)、②ベトナムの会計専門家とWebを介したインタビュー調査、③新興国への国際会計基準に関するSSCIジャーナルの調査など。研究費は上記の研究計画に準じて支出する。
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