2022 Fiscal Year Research-status Report
アジア新興国のグローバル会計基準の受容過程におけるコスト・ベネフィットの実態研究
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19K01986
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小津 稚加子 九州大学, 経済学研究院, 教授 (30214167)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | IFRS導入 / コスト・ベネフィット / 開発途上国 / 新興国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も現地でのフィールド調査が叶わなかった。引き続き、フィールド調査以外の方法で情報収集を行った。現在、インドシナ諸国のうち、ベトナムを調査中である。 その結果、次の事項を新たに確認した。当初ベトナム政府から公表されていたIFRS適用スケジュールは、2019年から2021年までIFRS適用準備として、IFRSのベトナム語翻訳を公開し、人材をトレーニングし、IFRS適用ガイドラインを作成する予定であり、 2022年から2025年までにSOE企業、上場企業、大規模公開企業の連結財務諸表への段階的適用を見通していた。さらに、2025年以降は上場企業にIFRSに基づく連結財務諸表を作成することまで視野に入れていた。 しかし、2022年度中に再調査したときに、当初のロードマップは前兆なく大きく変更されたことが分かった。スケジュール変更の背景には、企業会計制度のみならず近年急速に進んだ国際化対応について政府が厳しい方針をとっていることと、財政省がIFRSと会社法との関係(会計基準と法規の関係)に課題を見出していることなどがある。入手可能な情報源によれば、複数の、容易には克服できない問題も抱えており、例えば、大学教育課程がIFRS適用の基礎を支える人材育成に貢献しにくいカリキュラムになっているという批判や、IFRS適用ガイドラインそのものを作成する準備ができていないという指摘がある。2023年度上半期中に、これらの事実確認を行い、ロードマップ変更の理由をヒアリングする機会を得る予定である。また、IFRS非適用国が抱える潜在的な課題の特定を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究対象国のIFRS対応が大きく変更になったため。フィールド調査に代わる情報の提供源が限定されるため。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度上半期中に、これまでの調査結果を報告書にまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
・研究開始年度に始まったコロナ感染症の蔓延が長引いたため、研究調査の中核としていたフィールドワークができなかったため、研究に遅延が生じた。 ・研究対象国のIFRS適用に大きな変更が生じたため、研究計画を見直す必要が生じた。 ・来年度は、これまでに収集できた質的データで、まとめと課題を提示する。
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