2022 Fiscal Year Research-status Report
会計基準設定における事後的影響分析としての適用後レビューに関する国際比較制度分析
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19K01990
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
辻川 尚起 兵庫県立大学, 国際商経学部, 准教授 (50346631)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 適用後レビュー / PIR / 会計基準設定 / 会計基準の適正手続 / デュープロセス / FASB / IASB / 会計基準の経済的影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
R4年度も新型コロナウイルスcovid-19感染対策のため,研究のための文献資料やデータ収集のために必要となる関連機関での資料収集,また研究経過報告のための研究会や学会等学術研究集会がオンラインでの開催となり,各種出張がおおむね一年を通して非常に制約される状況であった。そのため,R4年度も前年度までと同様に「現在までの進捗状況」で「(4)遅れている」と自己評価するに至った。 本研究の目的は,会計基準の設定過程にかかわるデュー・プロセスにおいて,近年,アメリカ,国際基準,日本などで制度化された,会計基準の影響分析のために会計基準設定主体サイドが実施している会計基準設定における適用後レビュー(Post-implementation Review: PIR)について,その制度の国際比較と影響要因の分析,すでに行われた適用後レビューの具体的な内容の再検討,追加的な実証研究などを行い,これらを複合的かつ多面的に検討することで,会計規制や会計基準設定主体のあり方に関する含意を探ることである。 そのための具体的課題として,R4年度は,主に2点,第1に会計基準設定の適用後レビューにおいて学術研究レビューがどのように実施され利用されたかを国際財務報告基準(IFRS)第3号を事例として取り上げ検証し,その特質と問題点を検証し,第2に今後実施予定(後述の通りR5年度へ助成期間延長承認済)の追加的な実証研究のリサーチデザインの確定とデータベースの構築に取り組んだ。 経過成果として,単著論文,辻川尚起[2023]「会計基準の適用後レビューにおける学術研究の利用 -IFRS第3号を事例として-」『研究資料』(兵庫県立大学政策科学研究所),第293号,1-33頁を執筆・公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
R4年度も新型コロナウイルスcovid-19感染対策のため,新型コロナウイルスcovid-19感染拡大対策のため,研究のための文献資料やデータ収集のために必要となる関連機関での資料収集(■出張済: 国立国会図書館東京本館(東京都),公益財団法人日本税務研究センター(東京都),■出張不可: 公益財団法人日本証券経済研究所証券図書館(東京),米国議会図書館(ワシントンDC)等),また研究経過報告のための研究会や学会等学術研究集会がオンラインでの開催となり,各種出張がおおむね一年を通して非常に制約される状況であった。そのため,R2,3年度と同じく,「(4)遅れている」と自己評価するに至った。 R4年度での研究の進捗としては,主に2点,第1に会計基準設定の適用後レビューにおいて学術研究レビューがどのように実施され利用されたかをIFRS第3号を事例として検証し,第2に今後実施予定の追加的な実証研究のリサーチデザインの確定とデータベースの構築に取り組んだ。特に前者について,会計基準設定の適用後レビューにおいて,学術研究レビューがどのように実施され利用されたかを,IFRS3号を事例に検証した。IFRS第3号のPIRにおいて実施された学術研究のレビューとして,第1回目の検討であるIASB[2013b],第2回目の検討であるIASB[2014a],第3回目の検討であるIASB[2014b],最終報告書であるIFRSF[2015]における記述を比較検証し,評価できる点と疑問点を示し,含意を提示した。 なお,R4年度末に1年間の研究補助事業期間延長申請を行い,日本学術振興会から1年延長の承認を頂いたため,新たに終了年度となったR5年度も本課題研究を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,以下の予定で研究を進めていく予定である。まず,R4年度を中心に取り組む予定であった本研究の3つの課題のうち,課題(3)適用後レビュー実施例における学術研究調査を踏まえた追加的な実証研究に取り組む。その際,本研究ではこれらの重要課題に対して,政策過程論,政策評価論など学際的な見地から規制や基準の設定過程や規制実施後の政策評価に関する関連研究を援用して会計規制とそのデュー・プロセスのあり方へのインプリケーションを探ることとしたい。 また,R3年度に購入した,実証研究の財務データベース作成の基礎データとなる財務データCD-ROMダイジェスト版(アカデミック利用)・東洋経済新報社に基づき,実証研究に取り組む。また,R3・4年度に困難であった文献資料収集(国立国会図書館東京本館・東京,日本証券経済研究所証券図書館・東京,公益財団法人日本税務研究センター図書室・東京,米国連邦議会図書館・ワシントンDC)を進め,追加的な実証研究を実施し,研究成果発表を日本本会計研究学会,日本会計史学会,会計学サマーセミナーin九州,神戸大学会計史研究会をはじめとする学会・研究会で行いたいと考えている。 なお,周知のとおりR4年度も新型コロナウイルスcovid-19対応のため,関係機関の一時閉館・抽選制などの入館制限等に伴う国内・国外での資料収集の機会や,研究集会が対面での実施を控えざるを得ない状況が多く続いていたことを付言する。
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Causes of Carryover |
次年度使用が生じた主たる理由は,約3年にわたる新型コロナウイルスcovid-19感染対策のため,国内外での研究資料収集や研究報告のための出張がことごとく中止・延期等せざるを得ず,研究の進捗が大きく遅れているためである。とりわけ文献資料研究データを収集するための各関係機関において,新型コロナウイルスcovid-19感染拡大期に,一時閉館や抽選制,また人数・時間などの入館制限等が実施されたこともあり,いかんともしがたい状況が継続するなか,物理的・時間的な大きな制約となった。 R4年度もそれまでの新型コロナウイルスcovid-19禍期と同様に,「7.現在までの進捗状況」で「(4)遅れている」との自己評価を判断せざるを得ない状況であった。これを受けて,さらに1年の補助事業期間延長承認申請を行い,R5年度の日本学術振興会から補助事業期間の延長を承認いただいた。 R5年度は,R2~4年度に実施を控えていたデータベース作成および関連資料収集のための文献資料収集,および学会・研究会での研究成果報告のための出張旅費を中心に利用予定でいる。また,会計基準の他,政策評価論,政策過程論,公共選択論,法と経済学などの最新の文献資料の購入も行う。
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Research Products
(1 results)