2020 Fiscal Year Research-status Report
リース会計・環境財務会計・非営利組織会計の資産認識に着眼した財務弾力性評価の開発
Project/Area Number |
19K01992
|
Research Institution | Chiba Keizai University |
Principal Investigator |
佐藤 恵 千葉経済大学, 経済学部, 准教授 (90554981)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | リース会計 / オペレーティング・リース / ファイナンス・リース / 貸手 / 認識中止アプローチ / 財務弾力性 / 残存価値 / シェアリング・エコノミー |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、文献研究を中心として、以下に掲げる研究の成果を得ることができた。 (1)共同研究としてオペレーティング・リースの実証研究に取り組み、その成果として令和2年6月に共著論文を刊行した。本論文では、日本における2008年のリース会計基準改正が、借手企業の設備投資行動に与えた影響について分析している。分析の結果、改正前において、特に中堅企業では、オペレーティング・リースのみならず、ファイナンス・リースを利用して設備投資を行っていたが、改正以後、ファイナンス・リースの活用が極端に減少し、オペレーティング・リースを活用して設備投資を行っている点が示された。 (2)令和2年8月に学会(全国大会)の自由論題報告で取り上げた「使用権モデルの貸手の会計処理の変遷」について、さらに深掘りした上で論文として取りまとめた。本論文では、IASBとFASBの共同プロジェクトにおける貸手の会計処理の変遷を整理し、とくに貸手が原資産をリース債権と残存資産に区分してストック表示する認識中止アプローチを中心に検討した。検討の切り口として、中間的なリース(原資産に占める残存価値がある程度大きいリース)を用いた数値例を示し、当該リースに適用する貸手の会計処理として、認識中止アプローチが適している点を貸手の投資回収計算の観点から指摘した。その上で、今後、シェアリングエコノミーの台頭により中間的なリースが増加する場合、貸手の会計処理として認識中止アプローチを議論する意義がある旨に言及した。なお、本論文に関しては、現時点で学会誌(査読付)への掲載決定の連絡を受けている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は、コロナ禍により「ヒアリング調査」の実施が遅れたため、その旨本学の担当部署経由で日本学術振興会に相談申し上げたところである(電話照会)。 他方、「文献研究」に関しては、今年度から財務環境会計分野の研究に取り組んでおり、進捗状況に遅れはみられない。 以上を勘案して、本研究課題全体の進捗状況は「全体としてやや遅れている」と判断している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、研究目的の着実な達成と予算の有効活用を念頭に、申請当初より弾力的な研究計画を設計している。したがって、「現在までの進捗状況」に記載したとおり、ヒアリング調査の実施にあたり生じた問題については、文献研究に比重を移すことで対処している。今後は、環境財務会計を主軸として研究を推進する予定である。
|
Causes of Carryover |
(理由)すでに相談させていただいたところであるが、コロナ禍によりヒアリング調査の実施が遅れている。貴重な国庫を有効に活用すべく、慎重を期して使用してきた結果、次年度使用額が生じることとなった。 (使用計画)次年度においては、①新たに着手する環境財務会計の文献の購入費、②英文論文執筆に伴う校正費、ならびに(状況が許せば)③ヒアリング調査費として活用する。とくに①および②に予算を重点配分する予定である。
|