2020 Fiscal Year Research-status Report
全部暖簾および全部負の暖簾発生益の構成要素に係る分析
Project/Area Number |
19K01999
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山内 暁 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (10386542)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 企業結合 / M&A / 全部暖簾 / 全部負の暖簾発生益 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度には、2019年度に収集した必要対象年度における米国の企業結合データから、本研究課題が分析対象とする企業結合の抽出を行った(2019年度(60件)、2018年度(53件)、2017年度(66件)、2016年度(67件)、2015年度(87件)、2014年度(108件)、2013年度(85件)、2012年度(106件)、2011年度(101件)、2010年度(121件)、2009年度(110件)、2008年度(147件))。 本研究課題が分析の対象とする全部暖簾または全部負の暖簾発生益は、「支払対価 + 非支配持分(公正価値)+ 既保有持分(公正価値)」から「取得した全ての識別可能な資産(公正価値)- 引き受けた全ての負債(公正価値)」を控除することにより測定され、その測定値がプラスの場合には「暖簾」(資産)が認識され、マイナスの場合には「負の暖簾発生益」(利得)が認識されることとなる。ここで、本研究でいう全部暖簾は「暖簾」(資産)、全部負の暖簾発生益は「負の暖簾発生益」(利得)に該当する。 このように測定された全部暖簾・全部負の暖簾発生益は、貸借対照表または損益計算書に「暖簾」または「負の暖簾発生益」として、一括して認識されるが、その構成要素は、①「支払対価 ‐NA(取得分)=暖簾 or 負の暖簾発生益→買入暖簾の測定値と同額」、②「非支配持分(公正価値)‐NA(非支配持分)=暖簾 or 負の暖簾発生益」、③「既保有持分(公正価値)‐NA(既保有持分)=暖簾 or 負の暖簾発生益」(NA:「取得した全ての識別可能な資産(公正価値)‐引き受けた全ての負債(公正価値)」)という3つに分解することができる。本研究課題が分析対象とするのは特に、構成要素②が発生する企業結合であり、2020年度には当該企業結合の抽出を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は当初、分析対象とする企業結合の抽出に加えて関連情報の収集とそれらのデータ入力を全て行う予定であった。しかし、既述したように、2020年度は分析対象とする企業結合の抽出しか行うことができなかった。そのため、本研究課題の進捗状況は、「遅れている」状況である。 その原因として、新型コロナの影響により研究補助者の雇用が難しかった事、それによる作業の遅れがあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、既述した関連情報の収集とデータ入力を行い、個々の「全部暖簾」および「全部負の暖簾発生益」に係る具体的な分析に着手したいと考えている。ただし、関連情報の収集とデータ入力は手作業によるものであるため、研究補助者の雇用が必要であるが、新型コロナの影響により、当該雇用ができるかどうかは分からない状況である。
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Causes of Carryover |
当該研究費については、そのほとんどを研究補助者の雇用に用いる予定であった。しかし、既述した通り、新型コロナの影響により、研究補助者を雇用することができなかった。 今後の使用計画としては、当該研究に係る作業を行うために必要なデバイス、データ収集とその入力に係る研究補助者の雇用、およびデータ保存用のデバイスに使用する予定ではあるが、特に研究補助者については、新型コロナの影響により、確実に雇用できるとはいえない状況にある。
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