2019 Fiscal Year Research-status Report
会計的業績評価尺度を用いた自然環境の測定と開示:実態調査及び実証分析
Project/Area Number |
19K02005
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
岡 照二 関西大学, 商学部, 准教授 (10599260)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 生物多様性保全 / 管理会計 / サステナビリティ・バランスト・スコアカード |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大気、水、森林、土壌、海洋資源、動植物を含む生物多様性など自然環境を保全するため、企業の経済活動が自然環境に与える影響について、会計学の視点から総合的研究を行う。特に、社会科学データ及び自然科学データを用いて、会計的業績評価尺度を中心とした社会科学的アプローチを用いて測定・開示するフレームワークを明らかにする。 初年度の令和元年度は、会計的業績評価尺度としてのサステナビリティ・バランスト・スコアカード(SBSC)に関する先行研究の文献調査及びSBSCの実証研究を行い、SBSCの有用性について確認を行った。また、生物多様性保全と会計に関する先行研究(海外ジャーナル)について文献調査を行い、テキスト・マイニングを実施した。さらには、日本企業の生物多様性保全活動の実態を明らかにするため、東洋経済新報社による『CSR企業総覧』及び日本経済新聞出版社による『環境経営度調査』からのデータを用いて分析した。また、自然環境の測定をする際に利用可能性が考えらえる環境経済学による環境価値評価手法であるCVMやコンジョイント分析と環境会計との関連についても考察を行った。 初年度の研究成果については、国内学会(日本会計研究学会、日本社会関連会計学会)及び国際学会(23rd EMAN Conference)で研究発表を行い、学会に参加する国内の多くの研究者から有益なコメント等を多く頂くことができた。現在、国内学会で研究発表を行う際に執筆したフルペーパーを加筆・修正し、国内学会誌に投稿する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度の研究計画について、会計的業績評価尺度としてのサステナビリティ・バランスト・スコアカードに関する研究、生物多様性保全活動を積極的に実施している日本企業及び環境NPOへのインタビュー調査、欧州の研究者らとの情報交換等、すべて目標どおりに研究が進んでおり、一定の研究成果を発表することもできている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2年目の令和2年度は、1年目の文献調査及びインタビュー調査を踏まえて、統合報告書を発行する日本企業に対して、自然環境の測定と開示に関する質問票調査の準備を行っている。質問票調査から得られた回答結果を集計し、質問票から得られたデータ等を使用して、統計的手法を用いた実証分析を行い、また日経NEEDS-Financial QUESTによる財務データを用いて、自然環境データと会計データとの関係についても実証分析を行う予定である。それらの研究成果については国内の学会及び海外の学会で研究発表を行う予定である。 最終年度の令和3年度は、令和2年度の研究調査から得られた結果にもとづいて、追加的な統計的分析及びインタビュー調査を継続的に実施する予定である。
|
Causes of Carryover |
(理由) 令和元年度に購入予定であったパソコンなどコンピュータ関連の備品を購入せずに、国際学会に参加するための旅費に使用したため、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 令和2年度において、令和元年度に購入できなかったコンピュータ関連の備品について、令和元年度の助成金と併せて購入する計画である。
|