2023 Fiscal Year Annual Research Report
リスクのオンバランス化による会計・財務数値および企業行動への影響分析
Project/Area Number |
19K02007
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久保 淳司 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (70322790)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リスク情報 / 危険 / リスク / ソレイユ型 / リュンヌ型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,リスク情報のオンバランス化が会計数値あるいは財務数値,そして企業行動に対して,どのような影響を及ぼすのかの解明を目的としてきた。近年,企業が保有するリスクに対する株主,債権者,投資家などの利害関係者からの注目が高まっている。しかし,企業が保有するリスクの多くは,現状ではオフバランスであり,財務諸表の構成要素として位置づけられていない。これらのリスクが現在オフバランスとされているのは,財務報告の目的に適合しない,財務諸表の構成要素としての定義に該当しない,認識要件を充足しない,測定不能といった理由であるため,今日進む会計の変容に鑑みると,これらの理由が解消し,近い将来に多くのリスクがオンバランスされる事態も想定される。 本研究では,これまでに,アメリカ会計基準の検討を通じて,リスク情報のオンバランス化を正当化する2つの根拠(ソレイユ型とリュンヌ型)の存在,両者の関係,並存する理由についてまとめた。 コロナ禍の影響により予定していた資料収集の見込みがたたなくなったため,最終年度に予定していたアメリカ会計基準に関する総まとめの実施から,わが国およびIFRSへの敷衍可能性を探るよう研究計画を変更した。これにより,アメリカ会計基準を対象に実施したものと同様の分析を実施し,わが国会計基準ではアメリカ会計基準と同様のことが成立する一方,IFRSでは成立しないであろうとの多くの示唆を得た。この示唆を基礎に,新たな研究計画を実行する予定である。
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