2022 Fiscal Year Research-status Report
financial improvement methods based on future plans using accounting information of local governments
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19K02008
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Research Institution | Kumamoto Gakuen University |
Principal Investigator |
大塚 成男 熊本学園大学, 専門職大学院会計専門職研究科, 教授 (20213770)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地方公会計 / 地方財政 / 中期財政計画 / 行政コスト |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は新型コロナ・ウイルス感染症の影響もあり、地方公共団体への訪問調査を再開することはできなかった。ただし、インターネットを通じた公会計情報の開示に関する実態調査と、静岡県行政経営研究会との連携による団体間比較に基づく行政コスト情報が果たし得る役割の検討を行うことができた。 インターネットを通じた実態調査では、すべての市町村のサイトを閲覧し、それぞれの団体による開示内容を類型化して集計した。その結果として、総務省の調査ではほぼすべての地方公共団体が財務書類の作成を行っているとされているものの、開示の状況は十分ではないことが判明した。特に、コロナ禍にあった2020年度の財務諸表については開示が中断されている団体が多い。また、開示対象が財務書類の本表に限定されている団体も非常に多い。財務書類を用いた分析において重要となる全体会計の附属明細書を開示している団体は43団体しかなく、地域住民等が地方公会計情報の活用を図ることができる状況にはなっていないことが明らかになった。 静岡県行政経営研究会との連携では、静岡県の市町村のコスト情報を入手し、比較分析を行うことができた。具体的な調査・分析の対象としたのは、すべての団体でアウトプットが共通している新型コロナ・ウイルス感染症対策としての特例定額給付金事業の実施にあたってのコストである。そして、比較の結果として、コストの金額・内訳においては団体間の大きな差異があることが判明した。特に、人件費とシステム関係費用についての差が大きい。また、人口構成等の特有の事情により、他団体にはないコストが生じている団体もあった。そして、同種の事業であっても団体間での事業の実施体制に差があることがコストに表れることが確認できた。したがって、この調査により行政コスト情報が団体による事業評価のための資料として有用であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、地方公共団体の現場担当者との意見交換を中心として、地方公会計情報を団体の将来計画に反映させる実践的な方法を明らかにすることを目的としている。したがって、本研究を進めるうえでは地方公共団体の現場との交流が不可欠であるが、コロナ禍によりそのための活動が制限されてきた。そのため、当初の予定よりも研究の進捗が遅れていることは否定できない。 ただし、コロナ禍対策として地方公共団体でもウェブ会議等を実施し得る施設の整備が進んだため、直接の訪問調査はできない場合であっても、オンラインでの意見交換を行うことができる環境が整備された。そのため、すでに意見交換の実績のある団体との間ではオンラインでの意見交換を行うことができるようになった。しかしながら、新たな団体との意見交換をウェブ会議で行うことには限界がある。訪問調査の意図を団体に説明し、意見交換の具体的な担当者を決めるうえでは、現地での対面による聞き取りを行う必要がある。そのため、新たなに意見交換を行う団体を増やすことができていない点での遅れが残っている。 また、学生アルバイトによる団体サイトの直接閲覧による実態調査を行うことはできたが、コロナ禍という特殊な状況下での調査であった点を踏まえれば、1回の調査だけで実情を判断することは適切ではない。開示の遅れが見られた団体についての追加調査を行う必要もある。 さらに、コロナ禍対策が最優先であったため、地方公共団体側も将来の財政計画の策定が進んでいない状況でもあった。そのため、団体との意見交換を行っても、十分に踏み込んだ内容のやり取りができなかった点もある。 以上の進捗の遅れが残されているため、「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、前年度の実態調査で収集されたデータを補強するとともに、その内容の解析を進める。また、地方公共団体との意見交換の範囲と頻度を高め、地方公会計情報を中期財政計画を中心とする将来計画に反映させる方法の具体化を図る。 収集されたデータの補強としては、公会計情報の開示が不十分であった団体における状況の変化を確認する。そのうえで、調査結果をデータ化して解析することを試みる。当初予定していた多変量解析を実施し得るまでのデータの整備はできない可能性があるが、総務省のサイトで公表されている電子化された財務書類データも活用して、地方公共団体の財政状態と地方公会計情報との相関を明らかにする調査を試みる。 また、地方公共団体への訪問調査を再開する。特に、実態調査で全体会計の附属明細書の開示を行っていることが判明した団体に対して訪問調査を申し込み、それらの団体における地方公会計情報の活用状況と中期財政計画を中心とした将来計画への反映状況についての聞き取り調査を行う。また、従来から意見交換を行ってきた団体ともウェブ会議等での意見交換を行い、公会計情報活用の進捗状況を確認する。 中期財政計画については2025年度までを対象として作成している団体が多い。それゆえ、多くの団体で中期財政計画の更新作業が今年度から始まることが予想される。そこで、意見交換を行っている団体を中心としてその更新作業を具体的にモニターしつつ、地方公会計情報の活用が行われている事例を収集し、その内容を一般化することで、多くの団体で利用し得る地方公会計情報活用のためのマニュアルを作成する。
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Causes of Carryover |
新型コロナ・ウイルス感染症対策として地方公共団体での訪問調査を行うことができなかったため、想定していた旅費を使用することができなかった。令和5年度においては訪問調査を再開することができると見込まれるため、その旅費は令和5年度中の訪問調査で使用する。
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Research Products
(2 results)