2020 Fiscal Year Research-status Report
地域的ネットワーク組織のマネジメントに資するメゾ管理会計モデルの研究
Project/Area Number |
19K02009
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
高橋 賢 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (50282439)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 財管一致の会計システム / 地域ネットワークの構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域ネットワークの財務報告の在り方について,2020年度は二つのサブテーマに基づいて研究を進めた。 まず第一に,財管一致の会計システムの研究を行った。財管一致の会計システムとは,財務会計による利益と管理会計による利益が近似あるいは一致しているか,多少乖離があってもその乖離に対して合理的な説明ができるような会計システムである。特に地域ネットワークでの財務報告では,部分集合の損益と全体損益の金額が一致している方が,会計情報をより多目的に活用することが出来る。特に,地域ネットワークではステイクホルダーが多様になることが考えられるため,財管一致の会計システムの構築が必要である。そのような問題意識から,2020年度では,財管一致の会計システムの基本的な設計思想に関する研究と,財管一致の会計システムへのアプローチに対する系譜を研究した。前者の研究では,1970年代のBeyerの『収益性会計』に焦点を当て,データベースの構築とその『情報』としての作成・活用についての基本的な設計思想を解明した。後者の研究では,財務会計と管理会計が歩み寄った時期ということで,①完全工業簿記の成立②直接原価計算論争③収益性会計という三つの事象を取り上げた。 第二に,コロナ禍で浮き彫りになった管理会計の課題を検討した。このうち,本研究に強く関連するのは,グローバルサプライチェーンの脆弱性とその構成の見直し,という点である。昨今のコロナ禍で,グローバルサプライチェーンの脆弱性が明らかになったが,この問題はコロナ禍が落ち着いても依然として残る問題であり,本研究における地域ネットワークの構築とその管理会計システムの設計においては大きな影響を与える問題である。グローバルというよりも,地域という枠組でのネットワークの構築とその管理の必要性が浮き彫りになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨今のコロナ禍で,対面でのインタビュー,実地調査,研究会,学会参加などが思うように行うことが出来ず,研究活動が文献研究・資料研究に限定されてしまった。研究会,学会等はリモートで行うことができ,また文献調査に時間をかけることが出来たので,理論的な枠組の研究はそれなりに進展したが,実態を把握することが叶わなかった。特に,地域ネットワークを実際に構築している地域に出張調査できなかったため,現状のリアルな分析を行うことが出来ず,その意味では研究はやや遅れてしまったというしかない。
|
Strategy for Future Research Activity |
実地調査は新型コロナウイルスの状況が改善されなければ行うことが出来ないが,これは自分ではコントロール出来るものではない。実地調査ができるようになるまでは,文献・資料等による理論的フレームワークの構築を進めていくしかない。また,既存のケースによるフレームワークの妥当性検証を行うしかない。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスにより,インタビュー調査,実地調査,研究会出張,学会出張などがすべて出来なくなってしまったために次年度使用額が生じた。 使用計画としては,新型コロナウイルスの感染状況が落ち着き次第インタビュー調査,実地調査,研究会出張,学会出張などを行う。また,データベースや資料を購入し,モデル分析を行う。
|
Research Products
(3 results)