2022 Fiscal Year Research-status Report
原価および収益の構造と顧客関係性の変容に関する研究
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19K02017
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
佐々木 郁子 東北学院大学, 経営学部, 教授 (90306051)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | コロナ禍 / サブスクリプションモデル / 原価態様 / 収益態様 |
Outline of Annual Research Achievements |
収益構造に関する研究については,当初の研究計画では小売業,観光業を中心にアンケート調査とインタビュー調査を行う予定であった。しかし,2022年度も引き続き,コロナ禍の影響によりアンケート調査を実施することができなかった。アンケート結果に基づき行う予定であった対面インタビュー調査も,出張制限等により実施することができなかった。 ただし,コロナ禍が企業のマネジメント・コントロールにどのような影響を与えたかについては,2019年12月から2021年10月までの有価証券報告書および適時開示情報を利用して,企業が中長期計画を変更したか,業績に影響が出たか,設備投資計画を変更したかを調査した。それにより,収益構造や原価構造に影響を与えたことがわかった。これらの研究成果については,日本学術会議「新型コロナ感染症による経営実践・経営学・経営学教育への影響を検討する分科会」でまとめている。この研究については,2023年9月の公開シンポジウムで報告予定である。また,サブスクリプションビジネスモデルの収益構造に関する研究を始めた。「サブスクリプションビジネスのモデル化とその評価に関する研究」として日本管理会計研究学会の産学共同研究を行い,その中間報告を2022年度の年次大会で報告した。 この他,コラムなので業績一覧には載せていないが「原価態様の多様性」『企業会計』Vol.74,No.11がある。これは,これまで原価態様が「固定」と「変動」の概念で分類されてきた。しかし,特に原価態様の非対称性の議論が始まり,原価が何に比例するかということの論点がずれてしまい,そもそも固定費と変動費とを分類する原価作用因とは異なる作用因である収益作用因との関係で議論されてしまった。そのため原価態様の非対称性の議論の決着がつかないということについて,過去の原価態様および収益態様の文献にもとづいて要約した。原価態様の議論については今後も続けていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍を前提としない状況での研究計画であったため,当初の実施計画が全く予定通りに進んでいない。最終年度を1年延長したものの,研究計画を全く新たに練り直ししており,当初の目標が達成できるかは不明である。ただし明るい見通しとして,サブスクリプションモデルに関する研究を始めたことである。サブスクリプションモデルにおける収益構造と顧客関係性は非常に重要なテーマで,この研究目的である顧客関係性が収益構造に与える影響を解明するのに役立つと考えられる。このトピックを新たに加えることで,研究の補完ができると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度を延長し,アンケート調査を実施する予定である。成果については,当初の見通しから大幅にずれているが,コロナ禍の制約もなくなったので,当初の目標達成のために研究を遂行したい。なお,収益構造に関する研究として,サブスクリプションモデルの研究を開始した。サブスクリプションモデルにおける収益構造と顧客関係性はこの研究テーマに関連するので,そちらも同時に進めて,研究成果を出していきたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により,研究計画通り調査ができなかった。また,それにより十分な研究成果を出すことができなかったため報告の機会がなかった。コロナ禍における国外出張や国内出張も制限されたため,主として出張費として多く支出する計画であった部分の支出ができなくなったことによる。 研究期間を延長し,研究計画を見直して,新たなトピック(サブスクリプションモデル)も加えている。これらも含めて調査研究を実施し研究目的を達成する予定であり,2023年度は研究成果を報告するための学会報告も積極的に行なっていく使用計画を立てている。
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